飛行機

【飛行機の見分け方⑦】ERJ(E-JET)の見分け方

こんにちは。ころすけです。

みなさんは空港で飛行機を見る時、どの飛行機がどの機種か見分けることができるでしょうか?

例えば、「あれはB777だ!」とか「あれはA320だ!」とかです。

名が知れていて誰もが特徴を知っている機種もあれば、そうでない機種もあるかもしれませんね。

A380なんかは誰もが特徴を知っている機種の代表かもしれません。

一方で例えばB777は名前は有名でも、他の機種と見分けられる人は意外に少ないかもしれません。

さらにマニアックになってくるとB777-200とB777-300の違いなどなど。

いずれにしても飛行機の機種にはそれぞれ特徴があって、よーく観察するとその特徴から何の機種か判別することは可能なのです。

ですが肝心のその特徴がよく分からないという方も多いのではないでしょうか?

この記事では機種ごとの外観上の特徴と、他機種と見分けるポイントについて紹介したいと思います。

今回はブラジルのエンブラエル社が開発したERJ(通称E-JET)について紹介したいと思います。

それでは始めましょう。

ERJのサイズ 国内のジェット機では最小サイズ

まずは大まかな特徴である機体のサイズから確認していきます。

機種のサイズイメージ

ERJは小型の旅客機よりもさらに小さいリージョナルジェットの代表機種です。

リージョナルジェットとは、一般に客席数が100席以下の旅客機で、地方空港間の移動需要を満たす戦略で開発された機体のことです。

なお、今回紹介するのは厳密に言うとERJ170・190シリーズで、通称E-JETと呼ばれます。

このE-JETはエンジンを主翼の下にぶら下げた双発の旅客機で、いわゆる”ジェット旅客機”のスタンダードな姿をしています。

エンブラエル社は他にERJ135や145といったシリーズを送り出していますが、同社はこちらのことを”ERJシリーズ”と呼んでいます。

このERJシリーズはエンジンを後部胴体に乗せたタイプで、座席数も50席未満とかなり小さく、日本では見られない機体です。

なので今回紹介するのはE-JETのみになるのですが、こちらは座席数が75~100席程度の典型的なリージョナルジェットと言えます。

下の写真はB737(150席クラス)と並んだE-JETですが、小型のB737と比較しても一回り程小さいことがよく分かります

E-JETとB737のサイズ比較

なので、ボーイングやエアバスの機材と並んで見分ける時は、まずはそのサイズ感から容易に目星を付けることができるのです。

ERJ(E-JET)の外観上の特徴

サイズ感からある程度判別できるとは言え、やはりE-JETを単体で見た時でも判別の手がかりが欲しいところです。

ここからはE-JETの外観上の特徴を挙げていきたいと思います。

1. 鼻の下を伸ばしたようなノーズ形状

E-JETの特徴としてまず注目したいのは、ノーズの形状、いわゆる「顔」の表情です

ひと昔前の飛行機といえば、大抵あごを上げて口を尖らせたような形状が主流でした。

従来機のノーズ形状

E-JETではノーズ下面の反り上がりがほとんどなく、一見すると鼻の下を伸ばしたような顔つきをしています。

E-JETのノーズ形状

このような形状はB787やA350など、最近開発された機種で流行り(?)のような印象がありますが、E-JETは先端がシャープに突き出ているのが特徴です

2. 垂直尾翼の付け根にあるドーサルフィン

次に目に付きやすい見分け箇所として、垂直尾翼のドーサルフィンが挙げられます。

ドーサルフィンは垂直尾翼の付け根付近の前縁の角度が変わっている部分で、垂直尾翼を流れる気流を整えてその効果を増す働きをします。

B737もドーサルフィンが特徴的な機種ですが、見分けが必要なそれ以外の機種では見られない特徴なので、十分に手掛かりになると言えます。

3. 飛行中にむき出しのランディングギア

次は飛行中のE-JETを真下から見た際の特徴です。

旅客機のランディングギアは離陸すると胴体の中に格納されますが、ほとんどの機体では胴体の扉が開き、ギアを格納すると扉が閉じるようになっています。

しかしE-JETの場合、胴体の扉自体がなく、格納してもランディングギアのタイヤが外から見えるのです

外から見えるタイヤ

この特徴はB737でも同様に見られますが、E-JETの特徴でもあるので、ぜひ押さえておきたいところです。

B737のタイヤが外から見える様子B737も同様にタイヤが外から見える

ちなみになぜ胴体の扉(ギアドア)がないかと言うと、そもそもドアがあることによって空気抵抗が減る一方で重量が増えて燃費が悪くなったり、追加の開閉機構が必要になります。

短距離運航が主体のE-JETでは、ギアドアがあるメリットが総合的に少ないという理由が1つ。

またギアに装備されたブレーキは冷却する必要がありますが、外気に直接触れた方が冷却効果が高いという要素もあるようです。

4. エンジンノズルのシェブロン形状

これは遠目で見ても非常に分かりづらいですが、実はE-JETのエンジンのノズルは縁がギザギザ(シェブロン)の形状をしています。

E-JETのシェブロンノズル

この形状はジェット排気の騒音を低減する効果があるのですが、B787やB747-8でも採用されていて、そちらの方が有名かもしれません。

B787やB747-8はエンジンの外側(カウル)の端がシェブロンであるのに対し、E-JETの場合は、コアセクションと呼ばれる中央部からのジェット排出口がシェブロンの形状をしています。

B787のシェブロンノズルB787では外側(カウル)の縁がシェブロン形状をしている

色も金属色をしていて非常に見えづらいのが難点ですが、E-JETの特徴なので注目してみてはいかがでしょうか?

ERJ(E-JET)の派生型を区別しよう

続いては、E-JETの派生型を区別してみたいと思います。

まずE-JETにはE170シリーズE190シリーズがあって、前者は80席前後、後者は100席前後で胴体の長さが7~8mほど異なります。

さらにE170シリーズにはE170E175、E190シリーズはE190E195に分かれていて、数字の大きい方が2mほど長い仕様です。

日本ではフジドリームエアラインズ(FDA)がE170とE175を、J-AIRがE170とE190をそれぞれ運航しているので、これらの違いについて主に紹介したいと思います。

機種名称 座席数 全長
E170 76席(FDA、J-AIR) 29.9m
E175 84席(FDA) 31.68m
E190 95席(J-AIR) 36.24m
E195 100~114席(Single Class ※メーカーカタログ) 38.65m

E170シリーズとE190シリーズの違いはドア数に注目

まずは大きくE170シリーズとE190シリーズの違いですが、これはドアの数に注目します。

E-JETの搭乗用ドアは片側前後に1つずつですが、E190シリーズでは座席数が多いため、翼上部にさらにもう1つ非常用ドアが設けられています

E190シリーズの非常ドア
E175(非常ドアはない)E170シリーズには翼上の非常ドアがない

E170シリーズとE190シリーズについては、他に違いらしい違いが見当たらないのが実情なので、まずは翼上にドアがあるかないかを見るようにしましょう。

E170とE175の違い。判別は非常に難しい!

続いては同シリーズ間の違いですが、E195は国内で見られないので、E170シリーズの見分け方のみスポットを当てます。

具体的にはFDAのE170とE175をどう見分けるか?という話になりますが、結論から言うと、これは非常に難しいです

と言うのも、E170とE175は全長でたった2m(座席2列分)しか違わず、それ以外の外観上の違いはほとんどないからです。

一点、完全ではありませんがウィングレットの違いに着目する方法が挙げられます。

実はE-JETのウイングレットは、後発で開発された進化型があって、新しく導入されたE175では進化型が基本的に採用されているのです。

E175のウイングレットの違い

上の画像を見ても分かるとおり、進化型のウイングレットは全体的に大きく、取り付けの角度も従来型よりやや浅く翼端方向に伸びるように付いているのが分かります。

FDAの機材で言うと、9機目(JA09FJ:ゴールド)の機材以降はこの進化型ウイングレットのE175を導入していますから、進化型ウイングレットであればE175になります

ただし、”それ以前のE175はE170と同じウイングレット”ですから、この判別は最早レジ番号で見分けるぐらいしかなく、超上級者向けと言えるかもしれません。

幸いにもFDAの飛行機はマルチカラーコンセプトで色が異なりますから、色で判別することが可能と言えば可能です。

参考までに以下の表に、FDAの機材についてまとめてみました。(2022/12月時点)

登録番号 カラー 型式
JA01FJ レッド E170
JA02FJ ライトブルー E170
JA03FJ ピンク E175
JA04FJ グリーン E170
JA05FJ オレンジ E175
JA06FJ パープル E175
JA07FJ イエロー E175
JA08FJ ティーグリーン E175
JA09FJ ゴールド E175(New Winglet)
JA10FJ シルバー E175(New Winglet)
JA11FJ グリーン E175(New Winglet)
JA12FJ ホワイト E175(New Winglet)
JA13FJ ネイビー E175(New Winglet)
JA14FJ ワインレッド E175(New Winglet)
JA15FJ ローズピンク E175(New Winglet)
JA16FJ バイオレット E175(New Winglet)

日本でも導入される?E-JETの進化型E2

国内で見られるE-JETの紹介は以上ですが、最後にエンブラエル社が新規に開発したE-JETの進化版、E-JET E2を紹介しましょう。

E-JET E2は、従来型のE-JETをさらに改良して燃費を改善した機種で、既にE190-E2E195-E2が国外の航空会社で運航されています。

具体的には、胴体などの設計はそのままに、主翼の形状ランディングギアが一新され、エンジンも最新のギヤードターボファンエンジンを装備しています。

下の画像は機内から見たE-JET E2の翼ですが、全体的に翼面積が大きくなり、ウイングレットも反り立つタイプではなく、後方に折れ曲がったレイクドウイングチップに近い印象を受けます。

E190-E2の主翼

日本でもデモフライトのためにE195-E2が飛来しましたが、デモ用の独特なマーキングと相まって話題にもなったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?

E195-E2の画像E195-E2(Embraer社HPより:https://www.embraercommercialaviation.com/fleet/e-jets-e2/)

E-JET E2は他にE175-E2がローンチ予定(E170-E2は開発なし)とのことです。

国内のE-JETはFDAを中心にE170シリーズが多いので、E175-E2でないと導入に踏み切る動きはないかもしれません。

ですが、元々競合するとされていた国産の三菱Space Jetが開発凍結された事態を見ると、いずれ国内の定期便でE-JET E2を目にする機会が訪れるかもしれませんね。

終わりに

いかがでしたか?

E-JETはブラジルのエンブラエル社製ということもあって、ひと昔前は知る人ぞ知るマイナーな機種だったかもしれません。

ですが、世界的にもエンブラエル社製の旅客機のシェアが拡大し、今やボーイング、エアバスと並んでメジャーな飛行機と言っても過言ではないかもしれません。

E-JETはFDA、J-AIRの運航とあって、2社の運航基地や主要就航先である、県営名古屋空港、伊丹空港、福岡空港などでよく見られます。

興味がある方は是非、E-JETを目当てにこれらの空港を訪れてみてはいかがでしょうか?

 

以上!

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