こんにちは。ころすけです。
みなさんは空港で飛行機を見る時、どの飛行機がどの機種か見分けることができるでしょうか?
例えば、「あれはB777だ!」とか「あれはA320だ!」とかです。
名が知れていて誰もが特徴を知っている機種もあれば、そうでない機種もあるかもしれませんね。
A380なんかは誰もが特徴を知っている機種の代表かもしれません。
一方で例えばB777は名前は有名でも、他の機種と見分けられる人は意外に少ないかもしれません。
さらにマニアックになってくるとB777-200とB777-300の違いなどなど。
いずれにしても飛行機の機種にはそれぞれ特徴があって、よーく観察するとその特徴から何の機種か判別することは可能なのです。
ですが肝心のその特徴がよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回はそれぞれの機種の外観上の特徴と、他機種と見分けるポイントについて紹介したいと思います。
まず第1回目はB737についてです。
B737のサイズ 150席前後の小型機材に分類される
まず始めにB737の最も大まかな特徴について確認しておきましょう。
最も大まかな特徴というのは「機体のサイズ」についてです。
飛行機を空港で見た時、まず第一に考えるのはその機体が大きいのか小さいのか?、はたまた中ぐらいの大きさなのか?です。
始めにこのサイズで機種を分類することで、2分の1か3分の1程度まで選択肢を絞ることができます。
下の図を見てください。
図は日本で主に見られる飛行機(旅客機)の種類を大型、中型、小型とリージョナル or プロペラ機にざっと分類してみたものです。
B737はどこに位置するかというと、一般的に旅客機の中でも小型の機材に分類されます。
座席数で言うと150席前後といったところです。
同じように小型の機材では他に何があるかと言うと、エアバスのA320 Family(A320やA321)がほぼ同等のサイズになります。
なのでサイズ感から「小型の機材だな」と思ったらB737かA320 Familyの可能性が高いわけで、さらに同サイズのA320 Familyとの違いをいくつか押さえておけば判別が可能というわけです。
下の画像では中、大型の機材と並んだB737が映っていて、二回りぐらい小さいサイズであることが分かります。↓
B737の外観上の特徴
それでは続いてB737の外観上の細かい特徴を見ていきましょう。
個人的にB737は割と外観上の特徴が多い機種だと思います。
1. 垂直尾翼のドーサルフィン
ドーサルフィンとは垂直尾翼の前側付け根部分についた小さなヒレのことです。
下の画像を見ると、B737の垂直尾翼はドーサルフィンが付いているために、他の機種と比べて途中から垂直尾翼前縁部の角度が変わっていることが分かります。↓
このドーサルフィンは同サイズのA320 Familyには付いておらず、遠くからでもよく分かるため、B737の最大の特徴と言ってよいかもしれません。
他にドーサルフィンが付いている飛行機として、ブラジルEmbraer社のERJシリーズがあります。
ただし、ERJは座席数が80席前後とB737よりも明らかにサイズが小さく胴体も細めなので、見分けることは簡単だと思います。
2. 低い胴体高とおむすび型のエンジン
2つ目の特徴は胴体全体が低いことです。
特にノーズランディングギアの見え具合を比較すると分かりやすいですが、B737の方が全体的に胴体が地面に近い位置にあることが分かるかと思います。
また胴体高の低さが影響して、B737のエンジン形状は真円形ではなくて、やや横につぶれたおむすびのような形になっています。↓
真円形のエンジン形状だと地面とエンジンが接触してしまうため、それを避けるための形状になっているのです。
3. 格納してもランディングギアが見えている
お次は飛行中に下から見上げて分かるB737の特徴を紹介しましょう。
下の画像を見てください。胴体の真ん中に黒いドーナツのような丸が見えるかと思います。
実はこれ、ランディングギアのタイヤがそのままむき出しになっているのです。
下の画像はB777ですが、ほとんどの機種は胴体にギア格納スペースのドアがあって、飛行中はタイヤが完全に胴体の中に格納されます。↓
先ほどB737の胴体高さは他の機種と比べて低いと紹介しましたが、そのため胴体にギア用のドアを付けると、地上で開閉した際に地面と接触してしまいます。
これがドアがないそもそもの原因のようですが、その他の点でメリットもあるため、総合的に考えても不要と判断されているようです。
例えば、ドアを付けるとその分の重量が増えますし、機構的にも複雑になります。
また、タイヤをむき出しにすることで、タイヤについたブレーキディスクを冷却する効果もあるようです。
ブレーキは熱を持つと制動性能が低下しますが、短距離主体で離着陸の間隔が短く、ブレーキに熱が溜まりやすいB737にとってはメリットが大きいと言えます。
下から見上げた時、タイヤがむき出しに見えるのもB737の大きな特徴の1つなのです。
4. 全体にシャープなノーズ形状(A320との比較)
最後の4つ目は少しマニアックな視点かもしれませんが、同サイズのA320 Familyと比較すると対象的な特徴なので、意識してみると区別するのに役立ちます。
B737のノーズ形状は全体的にシャープな形状をしていて、イメージ的には海洋生物のような顔をしています。
上の画像で、B737(左)はA320 Family(右)に比べてノーズが先端に向かって細くなっているのが分かるでしょうか?
また、横側のコックピットウィンドウの形状もB737の方がつり上がった形をしていて、少しキリッとした顔になっていることが分かりますね。
余談ですが、B737の中でも特に短胴型のB737-500がANAグループで使用されていたころの愛称は、その海洋生物的な見た目から“スーパードルフィン”でした。
ですが僕はどちらかと言うとサメかシャチに近いんじゃないかと思っていて、A320の方がイルカのような穏やかな顔をしている気がします。
B737の派生型を区別しよう!ほとんどはB737-800です
B737の他の機種との違いや特徴を見たところで、今度はB737の派生型の見分け方について紹介しましょう。
B737は最初に開発されたB737-100から-200、-300、-400、-500、-600、-700、-800、-900、B737MAXと実に10種類もの派生型が存在します。
このうち、B737-600から-900までの世代はB737NG(ネクストジェネレーション)、B737-300から-500まではB737クラシックと呼ばれています。
B737-100や-200はかなり古い世代の飛行機で、今や世界的にもほとんど見ることはありません。
現在日本で見られるB737のほとんどはB737NGのどれかです。
このうちB737-600は世界的に見ても導入数が少なく、国内のエアラインではB737-700かB737-800のどちらかを採用しています(-800の方が多い)。
なので基本的にはB737-800と-700の区別さえつけば大抵の場合は十分という感じです。
B737シリーズの派生型は胴体の長さがそれぞれ異なることと、ウイングレットの有無が見分けるためのポイントです。
B737派生型の見分け方のポイント
1. 胴体の長さ
B737NG:-600< -700< -800< -900
B737CL:-500< -300< -400
2. ウイングレットの有無
B737NG:あり(オプションだがほとんどの機体で採用)
B737CL:なし
B737MAX:あり(スプリットウイングレット)
1. B737-800とB737-700の違い
下の画像で、1枚目がB737-800、2枚目がB737-700になります。
B737 NGではウイングレットが付いている機体がほとんどなので、-800と-700を見分けるためには胴体の長さが決め手になります。
-700はB737の中でも短胴型の機種で、-800と比べると明らかに短くてずんぐりとしていることが分かります。
しかし、胴体長の雰囲気だけでは実際に見た時、いまいち決め手に欠けるのが実情です。
その場合は翼の上にある非常用脱出ドアの数に注目してください。
-800ではドアが2つ並んでいるのに対し、-700の方は1つしかドアがありません。
ドアの数は遠目でも見分けることが可能ですし、B737以外の機種でも見分けるポイントになることが多いので、真っ先に注目してみると良いですね。
2. B737-900の特徴
日本の航空会社は導入していませんが、日本に飛来する航空会社では大韓航空がB737-900を使用しています。
日本で多数派を占めるB737-800はB737の中でもかなり胴体が長い方になるのですが、B737-900は-800よりもさらに胴体が長い機体です。
ただしそれ以外に確実に違う点が見当たらないので、この区別は非常に難しいです。
上のB737-900はB737NGですが、ウイングレットを採用していないタイプです。
窓の数を数えると-800(下の画像)よりも前後それぞれ2つ分だけ胴体が長くなっていますが、言われないとほとんど違いが分かりません。
3. B737NGのウイングレット
大韓航空のB737-900のような例外はありますが、ほとんどのB737NGにはウイングレットが付いています。
B737NGのウイングレットはブレンデッドウイングレットと呼ばれ、ほぼ垂直に立ち上がった形状が特徴的です。
さらに最近のB737NGでは、ブレンデッドウイングレットを改良したスプリット・シミタール・ウイングレットを装備している機体もあります。
スプリット・シミタール・ウイングレットでは、翼端が上方に反り上がるだけでなく、棘のように下方にもブレードが突き出ているのが特徴です。
日本でスプリット・シミタール・ウイングレットのオプションを採用している航空会社はありませんが、日本に飛来するユナイテッド航空のB737NGで見られます。
4. B737-400と-500
お次は世代が変わって日本国内でも見かけることがほとんどなくなってしまいましたが、最近まで度々見かけることができたB737-400と-500を紹介しましょう。
B737-400や-500は、B737クラシックと呼ばれる世代の機種です。
このうち、B737-400はつい最近までJTA(日本トランスオーシャン航空)が、B737-500はANAウイングス(ANAの運航子会社)が使用していました。
B737クラシックではウイングレットの装備はありません。
B737-400は-800と同じく翼上の非常用ドアが2つありますが、-800よりも少し胴体が短くなっています。
B737-500は-700よりもさらに少し胴体が短くなっていて、翼上の非常用ドアも1つしかありません。
全体的にずんぐりした可愛らしいフォルムが特徴的でしたが、2020年6月にANAウイングスでの運航を終了しました。
5. B737-MAX
B737MAXは、B737NGをさらに進化させた新世代型のB737です。
B737NGよりもさらに燃料効率の良いエンジンを搭載して、今後B737の主流になることが期待されていますが、度重なる墜落事故を受けて一時運航が停止されました。
墜落事故の原因となったシステムの改修を経て、2020年末ごろから営業運航が再開されつつあります。
B737MAXの特徴はなんと言っても、スプリット・ウイングレットが標準装備である点ですね。
ウイングレット形状はB737NGのオプションと同じに見えますが、よーく見るとNGとMAXで形状が異なることが分かります。
B737NGのウイングレット↓
B737MAXのウイングレット↓
NGの下側のブレードが後付けのような形状をしているのに対し、MAXのウイングレットでは、上側と下側が一体となった形状をしていることが分かります。
MAXのウイングレットは正式には、Advanced Technology Wingletと呼ばれます。
墜落事故の影響を受けて、今後日本の空でB737MAXが見られるかどうかは不透明ですが、特徴的なウイングレット形状には注目したいですね。
終わりに
いかがでしたか?
探してみると意外と機種ごとの特徴があるということを感じていただけたのではないでしょうか?
機種の区別は最初は難しいかもしれませんが、慣れてくるとぱっと見の雰囲気や顔だけでも見分けられるようになってきます。
B737以外の他の機種についても今後紹介していきますので、興味があればそちらも覗いてみてください。
以上!