飛行機

航空管制入門!⑤空港内での地上の管制を理解しよう!

こんにちは。ころすけです。

ここまで4回にわたって航空管制の入門編を紹介してきました。(過去記事のリンクは最後にあります。)

第4回でようやく管制官と飛行機の動きが繋がりましたが、解説しなければならないことはまだまだあるのです。

その1つが、今回解説する飛行機が地上にいる時の管制です。

前回の航空管制入門!④では飛行機が離陸してから着陸するまでの管制について解説をしました。

ですが飛行機の管制は飛行機が地上にいる時も行われているのです。

地上にいる飛行機の管制には何があってどのような管制をするのか、さっそく見ていきましょう。

飛行機は空港内で地上にいる時も管制の監視下にある

飛んでいる飛行機が管制の監視下にあることは想像どおりかと思いますが、飛行機は飛んでいない場合でも管制からの指示を受ける必要があります。

具体的には、空港内を地上走行するにあたって走行するルートや動き出すタイミングについて指示や許可を受けるのです。

旅客機のような大きな飛行機ではコックピットから前方の視界は良いですが、斜め後方や真後ろを確認することは困難です。

また、空港の敷地内では飛行機の翼同士がぶつかるんじゃないかと思うほど、他の機体と近い距離を走行します。

こう考えると、地上走行においても管制の監視が必要であることは当然と言えるかもしれません。

さて、ここでちょっと視点を変えて空港内における空域について考えてみましょう。

空港を中心として半径5NM(9km)の範囲は航空交通管制圏と呼ばれる空域でした。

航空交通管制圏の特徴は何だったでしょうか?

航空交通管制圏のイメージ

そうです!他の空域では地表面からある高度までは非管制空域なのですが、航空交通管制圏では地表面から空域が始まっているのです

地表面も空域に含まれるということは、当然地上走行する際にも管制が適用される空域というわけです。

どうですか?空域を理解していると「なるほど!」と納得できるのではと思います。

それではここからは、地上ではどのような管制がなされるのか、どのような管制席があるのかを順番に見ていきましょう。

飛行開始前のフライトプランを承認する「クリアランスデリバリー」

飛行機がIFR(計器飛行方式)で飛行するにはフライトプランを提出しなければなりません。

フライトプランとは目的地空港や飛行高度、飛行経路などをまとめた飛行計画のことであり、飛行機の運航者が作成して予め管制機関に提出するものです。

飛行機の運航は地上走行を開始しようとタイヤから車止め(チョーク)を外した時点から始まりますが、その前にそもそもフライトプランがきちんと管制機関に承認されていることを確認しなければならないのです。

この時にコンタクトする管制席が「クリアランスデリバリー」であり、「タワー」と同じく管制塔の中に席があります。

コールサインとしては単に”デリバリー”であり、羽田空港なら東京デリバリー、関西空港なら関西デリバリーといった具合です。

パイロットは出発前5分前を目安にデリバリーにコンタクトするのです。

通常、予め提出された飛行経路はすんなりと承認されますが、稀に修正を求められることがあるのでパイロットは修正が受け入れ可能か判断することになります。

ところで、クリアランスデリバリーのデリバリーとは何なのか気になりませんか?

クリアランス=管制承認、デリバリー=伝達の意味なので、直訳するとクリアランスデリバリー=管制承認伝達になります。

管制承認を伝達しているとはどういうことでしょう?

実は提出されたフライトプランの承認自体はクリアランスデリバリーが行っているわけではないのです

フライトプランはエンルート管制を担当する管制区管制所、コールサインで言えば「コントロール」が承認しているのです。

コントロールが行った承認を、管制塔にある管制席が中継して飛行機に伝えることになるため、クリアランスデリバリーと呼ばれるというわけです。

管制承認伝達のイメージ

このクリアランスデリバリーですが、基本的には無線機を用いて音声で交信を行うのですが、一部で例外があります。

羽田空港や成田空港では、音声を用いた交信ではなく、ACARSと呼ばれるデータリンク通信を使用して行われています。

データリンクとは、簡単に言えば携帯電話のメール機能のようなものだと思ってください。

デリバリーとの交信は基本的に定型文で終わってしまうような内容であり、テキスト(文字)を用いた通信に簡略化することで、管制の効率化を図っているのです。

飛行機の地上走行を管制する「グラウンド」

フライトプランが承認されて、地上走行を開始する際にコンタクトするのが「グラウンド」と呼ばれる管制席です。

グラウンドもタワーやデリバリーと同じく管制塔内に席があります。

旅客機ですと通常、トーイングトラクターの力を借りてバック(プッシュバック)しながら駐機場を離れますが、このプッシュバックも地上走行に含まれます。

なので、駐機場を離れる前にプッシュバックの許可をグラウンドからもらうのです。

プッシュバックが完了した後、滑走路に向けて動き出すときにも再度グラウンドの許可が必要になります。

グラウンドから今度はどの誘導路を経由して滑走路の離陸位置まで移動するのか指示が来るのです。

誘導路はタキシーウェイと言いますが、一本一本にA1(アルファワン)やB5(ブラボーファイブ)のように名前が付いています。

通るタキシーウェイの名前を順番に指定することで、飛行機の地上走行経路を指示するというわけです。

地上走行を続けて滑走路の離陸開始位置付近までくると、今度はグラウンドからタワーにコンタクトするように指示が来ます。

離陸許可を出すのはタワーですから、離陸滑走を開始する前にタワーに管制がハンドオフされるというわけです。

グラウンドからの管制指示イメージ

一方で着陸した飛行機は、着陸後にタワーからグラウンドにハンドオフされます。

ハンドオフされた飛行機はグラウンドから駐機場までの地上経路が指示されるのです。

グラウンドからの管制指示イメージ(着陸後)

空港によってはデリバリーやグラウンドの管制席がない場合がある

羽田空港や成田空港のような混雑した大きな空港では、デリバリー、グラウンド、タワーの順番に飛行機は離陸までの無線交信を行います。

ですが飛行機の便数が少ないような空港では、デリバリーやグラウンドの管制席がない場合があるのです

例えば、デリバリーの代わりにグラウンドが管制伝達を行ったり、タワーがデリバリーとグラウンドの業務を兼務している空港もあります。

以下がその例です。

グラウンドがデリバリーの業務も行っている空港例

・仙台空港 ・小松空港 ・長崎空港 ・宮崎空港 など

タワーがグラウンドとデリバリーの業務も行っている空港例

・釧路空港 秋田空港 ・高松空港 ・広島空港 ・大分空港 など

このように例外はありますが、飛行機が離陸するまでには

フライトプランの承認 → 地上走行の許可 → タワーへのハンドオフ → タワーから離陸許可

の流れになっていることは共通していますので、基本を押さえてさえいれば難しくはないと思います。

成田空港の特殊ケース「ランプコントロール」

成田空港だけの特殊ケースとして「ランプコントロール」と呼ばれる管制席があります。

ランプコントロールはグラウンドの業務をより細かく分担したようなもので、地上走行のうち駐機場エリアだけを管制するのです。

ランプコントロールの業務エリア

つまりコンタクトする管制席の順番としては

デリバリー(フライトプランの承認) → ランプ(駐機場内走行の許可) → グラウンド(誘導路の走行許可) → タワー(離陸許可)

となるわけです。

成田空港は誘導路や駐機場の位置関係が複雑であり、かつ多くの飛行機が離発着するのでこのような特別な運用をしているのです。

終わりに

いかがでしたか?

航空管制入門!も回が進むにつれて頭の中がごちゃごちゃになってきたと思うかもしれません。

ですが第1回から順番に理解して整理していけば、それほど難しいものではないときっと分かると思います。

一通り記事を読んだ後に、必要に応じて前の記事に戻ってみることで、より理解が深まると思います。

興味がある方はぜひ、繰り返し記事を読んで航空管制の基本をマスターしてみてください!

以上!

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