飛行機

航空管制入門!⑥交通量が少ない空港での管制

こんにちは。ころすけです。

航空管制入門!も第6回となりました。

今回のテーマは「交通量が少ない空港での管制について」です。

航空業界では航空交通的な意味で運航中の機体のことをトラフィック: Trafficと言います。

例えば自分の前方を別の機体が飛行している場合、「前方にトラフィックがいる」みたいな言い方をします。

なので「トラフィックが多い空港」のような言い方をすると、離発着する便が多い空港という意味になります。

これまで解説してきた管制の例では、トラフィックが多い羽田空港や成田空港、福岡空港などを想定してきました。

では離発着便が1日に十数便程度の空港(トラフィックが少ない空港)では、どのような管制が行われるのでしょうか?

解説します。

交通量が少ない空港の特徴は?

これまでも解説してきたように、航空管制を理解するためには①空域の種類、②飛行経路のフェーズ、③航空管制官の管制席について理解し、結び付けることが重要です。

トラフィックが少ない空港の場合であっても、まずはトラフィックが多い空港と同じような空域や飛行フェーズ、管制官の配置をイメージするこが重要です。

なぜならトラフィックが少ない空港の管制というのは、例えば空域が一部省略されていたりと、トラフィックが多い空港と比較して考えると理解しやすくなるからです。

具体的には、トラフィックが少ない空港では以下のようなケースが多くみられます。

STARがなくエンルートから直接進入フェーズに繋がる場合がある

・「タワー」ではなく「レディオ」や「リモート」の管制席があり、航空交通情報圏が設定されている場合がある

進入管制区が設定されておらず、ターミナルレーダー管制が実施されていない場合がある

それではこれらを1つずつ見ていきましょう。

STARがを経由せずに進入フェーズに繋がる場合がある

そもそもSTARとは、エンルート上のウェイポイントと進入フェーズの開始点となるウェイポイントが繋がっていない場合に、その間の橋渡しをするために設定されるものです。

エンルートと進入開始点の間に経路を挟むわけですから、当然着陸まで遠回りさせるような飛行経路になるわけです。

トラフィックの多い空港の場合は遠回りさせる分、たくさんの飛行機を経路上に並べることができるので、ほとんどの場合STARを経由して進入に至ります。

一方で下図の進入経路をご覧ください。

STARのない進入経路の例

この進入経路は空港直上のポイントから始まっているのですが、このポイントはエンルートを構成するウェイポイントにもなっており、STARを経由することなく進入フェーズに繋がる一例になります

誤解があるといけないのですが、トラフィックが少ない空港であっても設定された進入経路によってはやはりSTARが必要になってきます。

なので、トラフィックが少ない空港だからと言って必ずしもSTARが省略されるわけではありません。

けれども、STARを省略した経路を設定できるのは、やはりトラフィックが少ないことが条件の1つになってくるというわけです。

STARがない場合はエンルート上で降下する必要があるので、STARがある時に比べてエンルートでの降下フェーズの割合が多くなります。

STARがある場合の降下フェーズのイメージ STARがない場合の降下フェーズのイメージ

「タワー」ではなく「レディオ」や「リモート」の場合がある

トラフィックの多い空港では、空港から半径5NMの範囲は航空交通管制圏であり、離着陸の許可を「タワー」の管制席が出しているのが基本です。

ですがトラフィックの少ない空港の多くでは、航空交通管制圏の代わりに航空交通情報圏が設定されています。

このような空港では、離着陸に関する業務を「レディオ」「リモート」と呼ばれる管制席が行っているのです。

これらは通称、レディオ空港やリモート空港と呼ばれるのですが、担当しているのは航空管制官ではなく航空管制運航情報官と呼ばれる人たちです。

航空交通情報圏も管制圏と同じく半径5NM、地表面から3,000ftが基本になりますから、考え方としては「タワー」の管制とあまり変わりありません。

航空交通情報圏のイメージ

大きな違いは、レディオやリモートを担当する航空管制運航情報官は、航空管制官と違って飛行に対して許可や指示を出すことができないという点です。

離着陸の際も「Cleared for Takeoff」や「Cleared to Land」のように”許可します”のフレーズではなく「Runway is Clear」のフレーズを使い、”滑走路に離着陸に支障のある障害物はありません”とあくまで情報提供にとどめないといけないのです。

ですから、離着陸しようとして本当に離着陸に支障がないかどうかはパイロット自身で判断することになります。

また、「タワー」の空港であるような「デリバリー」や「グラウンド」に相当する業務も、「レディオ」や「リモート」が担当します。

ただしこちらでも、許可や指示的なフレーズは使われないことになっています。

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進入管制区がない場合がある

進入管制区は空港周辺のターミナルエリアに設定される空域で、ターミナルレーダー管制業務が実施される空域になります。

ここでは空港に設置されたターミナルレーダーにより空港周辺を飛行する機体が捕捉され、管制官により適宜ほかの機体とセパレーションを取るための指示が出されています。

トラフィックの少ない空港ではそもそも同時に飛行している機体が少ないため、このようにレーダーで機体同士のセパレーションを細かく管理する必要がないのです

ターミナルレーダー管制が実施されていないため、進入管制区がない空港はノンレーダー空港と呼ばれています。

進入管制区が設定されているエリア出典: 国土交通省ホームページ https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000342.html

上の図の赤枠と青枠のエリアは、国内の進入管制区を表しています。

このように国内のほとんどの空港が進入管制区がある空港に該当しますが、日本海側の空港や、北海道の東側エリアの空港は進入管制区がない空港であることが分かります。

ターミナルレーダー管制がないということは、それらの管制席である「デパーチャー」や「アプローチ」もないということになります。

ではどうなるかと言うと、「タワー」や「レディオ」とエンルートを管制する「コントロール」の間で直接ハンドオフがなされるのです

要するに、単純に進入管制区がある場合の空域が省略されていると考えるだけでよいのです。

ターミナルレーダー管制がない場合のハンドオフイメージ

終わりに

いかがでしたか?

トラフィックの多い空港や少ない空港で事情が異なるため、一見すると難しそうに見えるかもしれません。

ですが基本的な空域やフェーズ、管制席の種類を理解していれば、それらが基礎になって理解できることも分かっていただけたのではないかと思います。

次回飛行機に乗る機会があれば、訪れる空港がどのような空港に該当するのか注目してみると面白いかもしれないですよ?

 

以上!

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