飛行機

成田空港からの出発経路をマスターしよう!~飛行機のルートは予め決まっています~

こんにちは。ころすけです。

飛行機に乗る時、目的地までどのような経路(ルート)で飛んでいくのか気になりますよね?

国内であれば日本海側を飛んでいくのか、それとも太平洋側を飛んでいくのか。

実は飛行機が飛ぶ経路は大体いつも決まっていて、出発してすぐどちらの方向に向かうのかでほとんど決まっていると言っても良いぐらいです。

今回は国際線の往来が非常に多い成田空港について、各目的地別の出発経路を見ていきたいと思います。

成田空港からの出発機に対する管制機関指定の経路

エアラインの飛行機が運航する際、航空会社は管制機関に対して飛行計画(フライトプラン)を提出しなければなりません。

このフライトプランの項目の1つに飛行経路が含まれるのですが、エアラインの定期便が就航するような大きな空港では、管制が複雑になりすぎないよう予め指定のルートが周知されています。

下の画像は管制機関から指定されるルートを周知した文書の例で、成田空港出発機に関する部分を一部抜粋しています。

飛行計画ルートの指定

例えば、一番上のまとまりでは「for NOPAC route/Pacific Ocean/G223/B452/A337」と括弧書きがされています。

NOPACとは太平洋のカムチャッカ半島南からアリューシャン列島にかけて敷かれた航空路群を指していて、Pacific Oceanは太平洋、G223などは特定の航空路名でいずれも太平洋上の航空路です。

つまり、太平洋のこれらの航空路を飛行予定の場合は、その下に記載されたルートから接続することと指定されているのです。

具体的にそのルートを見てみると、RJAA(成田空港)から次にGULBO、BORLOまたはOLVANというチェックポイント(ウェイポイント)に続く3つの経路から選択することになります。

同じように「for RJBB/RJOO/RJGG/RJFK」ではRJBB(関西空港)、RJOO(伊丹空港)、RJGG(セントレア)、RJFK(鹿児島空港)に向かう場合の経路が指定されているという具合です。※RJBBなどは特定の空港を示す4レターコード。

成田空港からの出発ルートを目的地別に整理してみよう

それでは、具体的に成田空港からの出発経路の詳細を見ていきましょう。

出発経路はSID:Standard Instrument Departure(標準計器出発方式)と呼ばれ、○○DEPARTUREなどと名前が付いています。

成田空港では主に使用されるSIDだけでも5個以上ありますが、以下のように3つの方面群に分けて考えると理解しやすいかと思います。

①北方(欧州、韓国、中国北部、西日本北部)へはTETRA DEPARTURE経由

まず始めは成田空港より北方に向かう出発経路で、北海道・東北方面や、日本海側に抜けて欧州・韓国・中国北部に向かう便が該当します。

さらに、西日本の北寄りになる福岡、広島、高松、小松行きも含まれます。

この出発経路で使用されるSIDは、成田空港のすぐ西側のTETRAというウェイポイントに向かうTETRA DEPARTUREです。

以下の図はTETRA DEPARTUREの飛行チャートになります。

TETRA DEPARTURETETRA DEPARTURE

離陸する向きで経路が異なるのですが、南風離陸時(RWY16 Takeoff)の時はしばらく直線飛行した後に180度反転するように、北風離陸時(RWY34 Takeoff)の時は離陸後に右旋回を続けるのですが、どちらも終点はTETRAです。

SIDは終点(この場合はTETRA)で巡航経路に接続するのですが、このTETRA DEPARTUREはTETRAからさらに分岐した経路が続き、そこから各方面の巡航経路に接続していきます。

このようなSID+αの経路をTransitionと言うのですが、以下の図のとおりです。

図のように巡航経路にはKIMIN、AGRIS、ENPARの3地点から接続し、それぞれ方面別に使い分けがなされています。

TETRA DEPARTURE TRANSITION

さらに下の図はTransitionから先の巡航経路の概略を示していますが、全体的なイメージが掴めるのではないでしょうか。

TETRA DEPARTUREから巡航経路まで

②太平洋・沖縄・東南アジア方面へはGULBO・BORLO・OLVAN DEPARTURE経由

続いては太平洋の沖合に出ていく出発経路で、これらはGULBO DEPARTURE、BORLO DEPARTURE、OLVAN DEPARTUREの3つのSIDが使い分けられています。

まずは3つのSIDの飛行チャートを見てみましょう。

GULBO DEPARTUREGULBO DEPARTURE
BORLO DEPARTUREBORLO DEPARTURE
OLVAN DEPARTUREOLVAN DEPARTURE

いずれの出発経路も北風離陸(RWY34 Takeoff)の時はすぐに右旋回をして、南風離陸(RWY16 Takeoff)の時はほとんど直進に近い形でSID終点のウェイポイントを目指しています。

比べてみると、OLVAN DEPARTUREではTransitionでSAMUSという終点のポイントがあるのを除き、3つの終点のポイントにはあまり差がないように思われます。

この辺りの使い分けについては、その後の経路、つまり巡航経路から先の様子を見ると分かりやすくなります。

下の図はSIDから先の巡航経路を示したものです。

GULBO・BORLO・OLVAN DEPARTUREから巡航経路まで

GULBO・BORLO・OLVANのいずれも似たような場所にありますが、その先に続く巡航経路が異なっています。

GULBOからは太平洋の北寄りを通って北米大陸へ、BORLOからは太平洋の南寄りをハワイへ向かいます。

巡航経路がそれぞれ3本ほど枝分かれしているのは、特に太平洋上のルートでは、気流の関係によって日ごとに最適なルートを都度設定する方式を取っているためです。

主として上空のジェット気流が北寄りに位置するのか南寄りに位置するのかに影響されますから、接続する経路も南北方向に数パターン用意されているのです。

OLVANからはOLVANからグアム、豪州以東への経路に直接接続するか、Transitionを経由してSAMUSまで行く場合は東南アジア沖縄方面へ向かうことが分かります。

③西日本南部・中国中南部・西アジアへはREDEK・PIGOK DEPARTURE経由

最後は成田空港からほぼ真西に向かう場合で、国内であれば中部・関空・伊丹の主要空港九州南部、海外であれば上海以南の中国、台湾、ハノイあたりまでの地域とインドやドバイなど西アジアが該当します。

使用されるのはREDEK DEPARTUREPIGOK DEPARTUREです。

REDEK DEPARTUREREDEK DEPARTURE
PIGOK DEPARTUREPIGOK DEPARTURE

経路の取り方としては先ほどのTETRA DEPARUTEと似ていますが、終点が君津市付近のREDEKもしくはPIGOKになっています。

例によってここでもその先の巡航経路を見ながら、その使い分けを見てみましょう。

REDEK・PIGOK DEPARTUREから巡航経路まで

それぞれ西日本の上空を越えて、中国や台湾の方面に抜けているのが分かります。

特にインドや中東など西アジア方面では、図のように上海あたりで大陸に入り、中国の奥地に向かうように大陸を横断していきます。

終わりに

いかがでしたか?

成田空港は国際線が多いだけあって、東西南北まんべんなく出発経路が設定されていて、それぞれ使い分けがされているのです。

成田空港から飛行機に乗る際はぜひ、これから飛行するルートを予想しつつ、搭乗されてみてはいかがでしょうか?

 

以上!

~他の空港や成田空港への着陸経路の解説はこちら~

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