こんにちは。ころすけです。
飛行機に乗る時、目的地までどのようなルートで飛んでいくのか気になりますよね?
国内であれば日本海側を飛んでいくのか、それとも太平洋側を飛んでいくのか。
海外であれば世界地図のどのあたりを飛んでいくのか。
実は飛行機が飛ぶルートは大体いつも決まっていて、出発してすぐどちらの方向に向かうのかでほどんど決まっていると言っても良いぐらいです。
今回は日本有数の大都市の1つ、名古屋の玄関となる中部国際空港・セントレアについて、飛行機の方面別出発経路を解き明かしていきたいと思います。
セントレア出発機に対する管制機関指定の経路
エアラインなどが飛行機を運航する場合、飛行計画(フライトプラン)を管制機関に提出して承認を受けなければなりません。
フライトプランに記載する項目の1つに飛行経路が含まれるのですが、特にエアラインが就航するような大きな空港では、各エアラインが好き勝手に出発経路を決めていたのでは管制上の負荷が大きくなってしまいます。
なので、管制機関側から予め「この空港からあの空港へ行くときはこの出発経路で」と飛行ルートの指定があるのです。
その指定された飛行ルートを通知しているのが下図の文書になります。
ちょっと例を挙げてみると、一番上の表記は「for Korea/Northern part of China」となっていて、韓国や中国北部の空港へ向けて出発する際の指定経路であることを表しています。
中身を見ると、
RJGG(セントレア)→ HIKNE(琵琶湖近辺)→ YME(京都の宮津VOR)→ Y18 → MIHOU(鳥取県米子市近辺)
となっていて、飛行経路はまず空港を出発して琵琶湖方面から日本海側に出た後、山陰沿いに韓国・中国へ向かう経路が指定されていると分かります。
このような感じで、全ての出発方面について同じように出発経路が指定されているのです。
これはちょっと余談ですが、上の図で経路がいくつも用意されている場合、エアラインの飛行機であれば基本的に「for RNAV1」と付いている経路を飛行します。
これは飛行機が搭載している航法装置などによって飛行可能な経路かどうかが分かれるのですが、エアラインの飛行機であればまず間違いなくRNAV1に対応しているからです。
セントレアからの出発経路と目的地を整理してみよう!
それではここからは、セントレアから出発した飛行機が具体的にどの経路を飛行するのか、目的地別に解き明かしていきたいと思います。
①北海道、東北方面、ヨーロッパへはMEIJO DEPARTURE経由
まずは北海道、東北という国内線の北国へ向かうルートとヨーロッパへ向かう出発経路ですが、これらの方面へはMEIJO DEPARTUREという出発経路が指定されています。
MEIJO DEPARTUREは、空港を北向きに離陸した場合はそのまま北上し、南向きに離陸した場合はすぐに右に180°旋回をしてやはり北方へ向かう出発経路です。
飛行機はその後、かつての国際空港であった県営名古屋空港の上空を通り過ぎ、そのままKROBEというポイントを目指します。
KROBEはちょうど富山県の立山あたりのポイントで、ここから日本海側にそって北海道や仙台を除く東北各地へと向かうのです。
ヨーロッパに向かう場合は、KROBEからそのまま新潟あたりで日本海を抜けて、ロシア方面に向かうルートへと針路を取ります。
②仙台空港へはTOYOTA DEPARTURE経由
新幹線で行くには東京で乗り換える必要があり、また時間もそれなりにかかることもあってか、セントレア-仙台は比較的便数が多い路線と言えるかもしれません。
そんな仙台に向かう出発経路にはTOYOTA DEPARTUREが指定されています。
TOYOTA DEPARTUREはその名のとおり、離陸後すぐに針路を真東に取って、豊田市近辺にあるMORIZというポイントを目指す経路です。
その後はちょうど長野県と静岡県の県境付近、南アルプス近辺のCHAUSから巡航経路に移ります。
その後は長野県、山梨県の県境付近から群馬、栃木県を通るように北東に向かい、福島県を通って仙台まで至ります。
③九州北部、韓国、中国北部方面へはOUMI DEPARTURE経由
お次はセントレアから西方面へ向けて出発する場合の経路です。
西方でも北西よりの目的地へはOUMI DEPARTUREが使用されます。
OUMI DEPARTUREでは途中の分岐ごとに向かう方面が分かれています。
まず始めの分岐であるHIKNEはちょうど琵琶湖のほとりにあるポイントになりますが、福岡、長崎、そして上海などの中国中部方面ヘはここで巡航経路に乗り、そのまま山陽の都市沿いに真西に向かいます。
一方で韓国や北京などの中国北部へは、HIKNEからさらに少し北西に向かった京都府のMIYAZUで巡航経路に移ります。
MIYAZU以降はほぼ真西に針路を取って、米子市や出雲市近辺を通過して韓国や中国北部へと向かいます。
さらに西方でもやや南に位置する松山、熊本、大分と言った目的地へは、PIONEと呼ばれる岡山のポイントを通り、広島県に入ったあたりで豊後水道を横断して大分県へ向かう経路を辿るのです。
④九州南部、沖縄、東南アジア方面へはISE DEPARTURE経由
続いては九州南部や沖縄、東南アジア方面への出発経路です。
リゾート路線の雰囲気が漂うこれらの目的地へはISE DEPARTUREが使用されます。
ISE DEPARTUREは紀伊半島を伊勢湾沿いに飛行し、和歌山県串本町のKUSHIMOTOまで至る出発経路です。
KUSHIMOTOから先は、九州南部や台湾、東南アジアへは四国の南側を通って奄美諸島沿いに飛行するルートへ、グアム、サイパンへ向かう場合は針路をほぼ真南に取って南太平洋の海原へと出ていくのです。
⑤ハワイ、羽田、成田へはCHITA DEPARTURE経由
最後の出発経路はハワイ、羽田空港、成田空港へ向かう際に使用されるCHITA DEPARTUREです。
CHITA DEPARTUREはセントレアから南東方向に向かい、静岡県沖のポイントまで到達する出発経路です。
ハワイに行く経路と羽田、成田への経路が同じというのは一見不思議な感じがしますね。
これについては下の画像を見ると一目瞭然で、静岡沖から先の房総半島先端から太平洋に抜けていく通り道が、ちょうど羽田空港や成田空港への到着経路の開始点付近にあたるのです。
⑥北米デトロイトへは出発経路が日によって変わる?
以上でセントレアからの出発経路について全て紹介をしたのですが、セントレアからはデルタ航空がアメリカのデトロイトへ直行便を飛ばしています。
北米行きは最初に紹介した管制機関が指定する飛行経路では、ハワイと同じ出発経路を辿るようになっています。
ですが実際の飛行記録を見ると、どうもデトロイト便は日によって使う出発経路を変えているようなのです。
具体的には、①のように日本海側から北海道を通過してカムチャッカ半島沿いの太平洋北側ルートを通ることもあれば、②のように長野県、福島県あたりを縦断して、東北沖からやはりカムチャッカ半島沿いに向かうこともあるようです。
さらに⑤のハワイ行きと同じように、CHITA DEPARTUREからカムチャッカ半島よりもやや南側の太平洋を通る日もあります。
元々太平洋上空の経路は、その日の風の具合などを考慮して柔軟に経路が設定されるようになっています。
なので日によって柔軟に変わる巡航経路に合わせて、出発経路の方も当然日によって変わると理解できそうですね。
↓日本海側から北海道を通ったケース
↓長野、福島県を縦断して東北沖から太平洋に出たケース
↓ハワイ方面と同じ出発経路から向かうケース
終わりに
いかがでしたか?
少々複雑だったかもしれませんが、目的地と出発経路の関係が何となくでもお分かりいただけたのではと思います。
出発経路さえわかってしまえば、巡航から目的地はほぼ一直線に向かう経路になりますから、先の経路を想像するのは簡単です。
セントレアから飛行機に乗る機会がある方はぜひ、フライト前に出発経路をシミュレーションしてから搭乗してみてはいかがでしょうか?
以上!
~他の空港やセントレアへの着陸経路の解説はこちら~