こんにちは。ころすけです。
今回は成田空港へ到着する場合の経路について解説したいと思います。
成田空港へ到着するパターンは大別すると3つ!
【全体の流れ】全ての飛行機は房総半島沖に集まってくる
成田空港は近年、国際線の拠点としての立場を羽田空港に奪われつつありますが、それでも依然として国内屈指の混雑空港と言えます。
海外からの国際線到着便があらゆる方面からやって来ることはもちろん、PeachなどのLCCが拠点としていることもあって、国内線の到着便も数多くあります。
つまり、東西南北あらゆる方角からの飛行機を扱う必要があるのですが、実は到着する経路は大きく3つに集約されるようになっています。
下の図はおおまかなイメージですが、北側、太平洋沖、南西側からの大きく3つの流れがあって、いずれも房総半島の銚子沖付近に集まってくるのがポイントです。
大まかな流れを確認したところで、次は3つの経路がそれぞれどの方面からの飛行機に該当するのか、順番に見ていきましょう。
①北側から到着する場合
成田空港の北側から到着する便は、巡航経路が空港より北側となる便が該当します。
具体的には、国内線であれば東北・北海道、国際線は北米(概ねカムチャッカ半島より北の航空路を使用する場合)・欧州便のほか、韓国や中国北部(北京など)からの便が含まれます。
これらの便は水戸市付近にあるSWAMPというウェイポイントを通過し、そこから成田空港のSTAR(標準計器到着方式)に接続します。
SWAMPが起点となるSTARなので、SWAMP ARRIVALと名前が付いています。
SWAMPに至るまでの経路は、北海道や北米便は東北の日本海側を南下するように飛行します。
中国北部や韓国、欧州からの便は、富山から新潟あたりの日本海側から日本列島を横断するように太平洋側に飛行し、それから針路を南に向けてやはりSWAMPを目指すのです。
②太平洋沖から到着する場合
続いて太平洋沖から到着する場合ですが、これは太平洋の北寄りか南寄りのいずれから来るかによって、STARに接続するウェイポイントがSUPOKかLUBLAに分かれます。
SUPOKもLUBLAも、千葉県の銚子からほぼ真東の沖合にあります。
そして接続するSTARの名称は、SUPOK ARRIVALもしくはLUBLA ARRIVALです。
まずSUPOKを目指す便は、北米便やハワイからの便が該当します。
北米の東海岸などカムチャッカ半島の南の航空路を使用する便は北日本の太平洋沖を南下して、ハワイや北米の西海岸など太平洋の真ん中を飛行してくる便はほぼ真東からSUPOKに接続するイメージです。
一方でLUBLAですが、こちらは太平洋の南東領域からの便で、グアムやオセアニアなど豪州東海岸から東の太平洋を通る便が北上して接続するイメージです。
また、ハワイからの便は南寄りのルートを通る場合(気流による)にはLUBLAからも接続します。
③南西側から到着する場合
最後に南西側から到着する場合ですが、こちらは西日本、中国中南部、西アジア、東南アジアの他、日によってオセアニアからの便で西寄り(概ねグアム島よりやや西の経路)から北上する場合が該当します。
目指すウェイポイントはRUTASで、接続するSTARの名称もRUTAS ARRIVALです。
RUTASは房総半島の先端、館山のやや南東の海上にあります。
使用する滑走路の向きで最後の経路が決まる
上記のようにSWAMP、SUPOK、LUBLA、RUTASに集められた飛行機はSTARを飛行するのですが、STARは使用する滑走路の向きによってそれぞれ経路が異なります。
つまり、RWY34着陸用のSTARとRWY16着陸用のSTARがそれぞれ設定されているのです。
STARは最終の着陸フェーズである進入(アプローチ)の起点が終点となりますが、このSTARの終点が着陸する滑走路の向きにより異なります。
RWY34(北風時)へは九十九里浜から一直線に飛行する
まずは北西方向(RWY34)に着陸する場合です。
この場合、STARは九十九里浜の沖合にあるELGARまたはTYLERに繋がっています。
例として下図はSWAMP、RUTASからのSTARですが、どちらもELGAR、TYLERに繋がっていることが分かります。
そしてELGAR・TYLERまで導かれた飛行機は最後の進入フェーズに移っていきます。
下図はILS(計器着陸装置)による進入の例ですが、九十九里浜から一直線に着陸していくのが分かるかと思います。
RWY16(南風時)へは霞ケ浦から回り込むように飛行する
続いては南東方向(RWY16)に着陸する場合です。
こちらの場合、STARは霞ケ浦付近のGEMIN、NORMAに繋がっています。
下図は先ほどと同じく、SWAMP、RUTASからのSTARです。
さらに下図はGEMIN、NORMAからRWY16RへのILS進入になりますが、RWY16の場合は左旋回で回り込むように滑走路の延長線に向けて飛行するのです。
フライトレーダー24で観察してみよう!
ここまで一通り成田空港への着陸経路について解説してきました。
ここではおさらいの意味も込めて、飛行機のリアルタイムの動きが確認できるフライトレーダー24を使って、成田空港への到着機の様子を見てみましょう。
下の画像は、とある日の日本時間15時ごろの画像です。
左の図はサイトの画像そのままで、一見するとごちゃごちゃして見えます。
ですが、前述の到着経路を踏まえて動線を描いてみると、確かに整理された流れになっているのが分かると思います。
終わりに
いかがでしたか?
成田空港は国内外の多方面から到着機がやって来る空港とあって、一見すると他の空港よりもバラバラと飛行機が集まってくるように見えます。
ですが、それらの流れをうまく合流させながら、最終的には秩序ある流れを作り出しているのです。
成田空港へ向かう便を利用する際はぜひ、自分がどの方面から空港に向かっているのか、イメージを膨らませながら搭乗してみてはいかがでしょうか?
以上!
~他の空港の解説はこちら~