こんにちは。ころすけです。
前回の記事で、伊丹空港からの出発経路について解説しました。
今回は伊丹空港へ到着する場合の経路について解説したいと思います。
※2022/12/3 ウェイポイント名の改正を反映しました。(KODAI→AGPUK)
伊丹空港への着陸は必ず南側から!
伊丹空港への着陸は全てIKOMAから北西向きの進入
伊丹空港への着陸で最も重要なポイントと言えるのが、進入方向が必ず北西向きになるという点です。
進入とは簡単に言えば、最終降下を開始してから滑走路を視認するまでの飛行フェーズを言うのですが、伊丹空港の進入は必ず空港の南側にあるIKOMAというポイントから北西向きになるのです。
下の画像は伊丹空港にILS(計器着陸方式)で着陸する場合の飛行チャートですが、IKOMAから北西に向かって最終降下をしています。
では、もしも風向きが南寄りであった場合はどうするのでしょうか?
飛行機は基本的に向かい風に向かって離着陸をしますから、南風の場合は当然北側から南東方向に向かって滑走路に着陸する必要があります。
実は伊丹空港では南風で着陸する場合、北西方向への進入で滑走路を視認した後、空港の周りをぐるっと反対側へ回り込む着陸方式が行われるのです。
この方式はサークリングアプローチと呼ばれています。
なぜサークリングアプローチが必要かと言うと、これには伊丹空港の地理的な要因が関係しています。
伊丹空港のすぐ北側は山が連なっていて、北側エリアから真っすぐに最終降下を行う経路を設定できないのです。
伊丹空港ではほとんどの場合北風に向かって離着陸するのですが、1年のうち何日かは南風に向かって着陸しなければならない日があります。
その場合も北西向きの進入からサークリングアプローチになりますから、いずれにしても飛行機は空港南側のIKOMAを目指して飛行するのです。
IKOMAへ到達する経路は大きく分けると3パターン
伊丹空港に着陸する飛行機は空港南側のIKOMAを目指してくるわけですが、やってくる方向は1つではありません。
特に伊丹空港は国内でも定期便の就航路線が多い空港ですから、例えば北海道からの便もあれば沖縄からの便もあるわけです。
このように全国各地からやってくる飛行機を最終的にIKOMAに導く必要があるのですが、飛行経路には巡航経路から進入開始ポイントまでを結ぶ標準計器到着方式(STAR: Standard Instrument Arrival)と呼ばれる経路が空港ごとに設定されています。
伊丹空港で基本的に使用されるSTARはROKKO、IZUMI、AGPUKの3か所から接続する経路で設定されていて、各方面からの飛行機はSTARに沿ってIKOMAまで導かれるのです。
上の図を見ても分かるとおり、STARの開始点である3ポイントは東西南北に分散していて、国内のあらゆる方向からの便に対応できる経路設定になっていることが分かります。
伊丹空港へ向かう便の出発地と到着経路を結びつけよう
では3パターンのSTARは具体的にどのような使い分けがなされているのでしょうか?
ここからは各空港から伊丹空港に向かう便が、それぞれどのSTAR経由で到着するのか細かく見ていきます。
下図の文書は国土交通省の航空局から出されている文書なのですが、飛行機の到着経路は出発地ごとに予め指定があるのです。
つまり、出発地によってどのSTAR経由でやってくるのか事前に区別することが可能なのです。
新千歳、函館、山陰方面からはROKKO経由
まず伊丹空港北側のROKKOからSTARに接続するケースですが、これには新千歳や函館に加え、出雲や隠岐などの山陰地方を出発する便が該当します。
上の図を見ても分かるとおり、新千歳や函館からの便は佐渡島から能登半島の付け根を通り、若狭湾からROKKOに向かう経路を飛行します。
山陰方面からの便は、まっすぐ伊丹空港に向かう途中でちょうどROKKOを通過するイメージです。
東北や関東地方からはAGPUK経由
続いては新千歳や函館を除く伊丹空港より東方の出発地からの便ですが、こちらはAGPUK経由で伊丹空港の到着経路に接続します。
AGPUKへ向かう流れは、大きく分けるとさらに3通りに分けられます。
1つ目は日本海側から新潟空港を通り、長野・岐阜付近を抜けてAGPUKに至る流れで、青森や秋田、山形など東北地方からの便の飛行経路になっています。
2つ目は福島から群馬県を抜ける流れで、こちらは仙台や福島からの便が飛行する経路です。
そして最後の3つ目は静岡県の沿岸沿いからやってくる流れで、これには羽田や成田からの便が該当するのです。
九州や沖縄・南西諸島方面からはIZUMI経由
最後はIZUMI経由の到着便ですが、九州や沖縄・南西諸島方面からの便がこの経路に該当します。
IZUMIへ向かう流れも大きく分けて2つあり、1つは四国上空を横断するような流れです。
これには福岡や熊本を始めとする九州北部・中部からの便や、四国を出発する便が該当します。
それとは別に四国南側の海上からIZUMIに向かう流れもあるのですが、こちらは宮崎や鹿児島などの九州南部や、沖縄・南西諸島方面からの飛行経路になっているのです。
終わりに
いかがでしたか?
飛行機の飛行経路は一見複雑そうに見えますが、順序良く見ていくと、方面別の大きな流れに分けることができるのです。
飛行機に乗る前におおよその飛行経路を把握していれば、窓から見える景色を予想して座席を選ぶことができますし、より一層飛行機に乗る楽しさを味わえると思います。
機会がありましたら是非、事前に飛行経路を把握した上で飛行機に搭乗してみてはいかがでしょうか?
以上!
~他の空港の解説はこちら~