こんにちは。ころすけです。
前回の記事で、セントレアを離陸してからの出発経路について解説しました。
というわけで、今回はセントレアへの到着ルートについて解説したいと思います。
セントレアへ到着するパターンは大別するとたった2つ!ただし入り口は多い。
セントレアは東京の羽田空港や大阪の関西国際空港ほど便数が多くはないものの、日本三大都市圏の1つである中部地方の拠点となる空港です。
地理的にも日本のほぼ真ん中に位置しており、単純に考えると東西南北全ての方向から満遍なく飛行機がやってくる空港と言えます。
以前に羽田空港への到着経路を解説した際、到着パターンは大きく分けると2通りしかないと紹介しましたが、実はセントレアも大きなパターンは2つしかないのです。
その2つのパターンとは、①北風(RWY36)に向けて到着するパターンと②南風(RWY18)に向けて到着するパターンです。
具体的に見てみましょう。
下の図は北風(RWY36)に向けて到着する場合のSTAR(標準計器到着経路)です。
STARの起点(巡航経路から離れて空港の着陸コースへと向かう起点)は方面ごとに異なり、北西側から反時計回りの順にCHESS、CARDS、OLTOM、SLIDE、SWINGと入り口となるチェックポイント(ウェイポイント)が点在しています。
このようなことからも、セントレアは東西南北あらゆる方向から飛行機がやってくるということが垣間見えますね。
ですがその先に注目すると、どのウェイポイントからであっても、PROBEに向けて伊勢湾、三河湾の周りをぐるっと回り込む経路は共通しています。
続いて下の画像は、南風(RWY18)に向けて到着する場合のSTARです。
こちらもSTARの起点は北風時と同じ5つのウェイポイントからですが、最終的なウェイポイントであるQUESTまで各方面からぐるりと回り込むようなルートになっています。
このように入り口のパターンは多いけれども、北風着陸、南風着陸のそれぞれの最終ポイントに向かって空港の周囲をぐるりと回り込む経路がセントレアの到着経路の特徴なのです。
出発地とSTARの入り口の関係を押さえよう!
では、数が多くて散らばっているSTARの入り口はどのように使い分けられているのでしょうか?
飛行機の巡航経路は基本的に出発地から目的地まで最短距離になるように最適なルートが決められていますから、必然的にSTARの起点となるポイントも出発地によって決まります。
STARの起点は巡航経路上のウェイポイントでもあるからです。
セントレアの場合、出発地と到着時のSTARの起点との関係はおおよそ下の図のようになっています。
まずCHESSは山陰沖を抜けて、福井県の若狭湾を通って到達するウェイポイントですが、日本以西では韓国や北京など中国北部を出発する便の巡航経路に繋がっています。
またセントレアへはドイツのフランクフルトからの定期便がありますが、ドイツからもほとんどの場合、ロシアから中国北部、韓国を抜ける同様のルートを辿ります。
CARDSへはセントレアの真西から真南に至るまで、これら全ての方向の出発地からの便がやってきます。
CARDSに到達する以前では、和歌山県の先端(串本町)よりも北側からやってくる流れと、それよりも南の太平洋上からやってくる流れの2つがあるのですが、三重県に入ったあたりで合流して共にCARDSに至るのです。
SWINGは新潟県から長野県松本市を抜けて到達するウェイポイントで、東北や北海道からの便はこの経路を通ります。
フィンランドのヘルシンキや北米便など、北極圏に近いエリアを飛行してから南下してくる便も同じです。
SLIDEは比較的便数が少なく、仙台や羽田、そして北米便でも気流の関係で北極圏よりも南寄り(大体カムチャッカ半島よりも南側)のルートを通った際はここからSTARに入ります。
ちょうど茨城県から富士山北側の山梨県、岐阜県を通過してセントレアに至るルートです。
最後のOLTOMも便数が少なく、成田やハワイからの便が通過するウェイポイントです。
こちらは伊豆半島の付け根、富士山の南側のルートからやってくるイメージです。
下の画像は実際にセントレアに向かってくる飛行機の様子と、各方面からの流れを図示したものです。
各方面からの飛行機が、きれいに集約されて5つのウェイポイントに向かっている様子がよく分かりますね。
(おまけ)深夜にセントレアへ南風で着陸する場合
ここまででセントレアへの着陸経路について基本を全て解説しましたが、最後にちょっとした例外を紹介します。
それは、セントレアに南風(RWY18)で夜間に着陸する場合です。
下の図を見てください。
STARの起点となるウェイポイントはこれまで紹介してきたものと同じですが、最後に至るポイントが西側からは伊勢湾上のMINEL、東側からはCHUBU(空港上空)になっています。
これはどういうことかと言うと、深夜は騒音問題に配慮して陸地の上をなるべく飛行しない、または高い高度で通過するような経路設定になっているのです。
深夜に到着する主な便は貨物専用航空会社などですが、実際の例がこちらです。
図はポーラーエアカーゴの貨物便(仁川-セントレア)ですが、深夜0時ごろの到着です。
最初に紹介したSTARでは、大垣市から名古屋市の西側を高度を落としながら一直線に空港へ向かっていました。
こちらの到着経路では比較的高い高度で三重県の鈴鹿市に到達した後、最後の降下は伊勢湾内の住宅のないエリアで行ってから空港に着陸しています。
東側から到着した場合も同様で、高い高度で空港上空に到着した後、伊勢湾内で旋回をしつつ滑走路に向けて降下していくのです。
終わりに
いかがでしたか?
このようにして空港それぞれの飛行経路をひも解いて見ると、それぞれに特徴が垣間見えて非常に興味深いのです。
セントレアへの到着便を利用する方はもちろん、セントレアで飛行機を見に行くことがあるという方はぜひ、飛行機の到着経路を事前に想像してから空港へ向かってみてはいかがでしょうか?
以上!
~他の空港の解説はこちら~