こんにちは。ころすけです。

PSI(Pound per Square Inch)という単位を聞いたことはあるでしょうか?

実はこれ、圧力の単位なのですが、圧力と言うと天気予報でよく使われるHPa(Hect Pascal)や1気圧、2気圧といった数え方が馴染み深いかと思います。

飛行機のシステムには様々なところで圧力を測ったり、圧力を調整したりする必要があるのですが、実は飛行機システムで使わる圧力の単位はHPaなどではなくPSIなのです。

今回はこのPSIについて紹介したいと思います。

PSI(Pound per Square Inch)とは?

PSIというのは圧力の単位になります。

圧力とは単位面積あたりにかかる平均の力の大きさのことを指していて、よく耳にするパスカル(Pa)という単位は、1平方メートルあたりに1キログラム重がかかる圧力と定義されています。

ちなみに、ヘクトパスカルのヘクトとは100倍のことを意味していて、天気予報でよく耳にする1ヘクトパスカル = 100パスカル です。

また1キログラム重とは通常の重量(質量)に地球の重力の大きさである重力加速度(9.8 m/s/s)を加味した値です。

では1PSIはどの程度の値なのでしょうか?

1PSIは1平方インチに対して1ポンド重の力がかかる圧力と定義されています。

PSIのSquare Inchとは1inchの正方形、すなわち1平方インチというわけで、Pound per Square Inchとは1平方インチあたり1ポンドという意味なのです。

PSIとパスカルのイメージ

さて、1PSIの定義が分かっても、1PSIが実際にどの程度の大きさなのかはにわかに想像しづらいと思います。

そこで、次は1気圧(地上で感じている気圧)が何PSIに相当するのか計算してみることとしましょう。

厳密には気圧は日によって変化するものですが、1気圧は平均値である1013 HPaと定義されています。

また、1インチ(Inch)は約2.54cm、1ポンド(lb)は約0.453kgですから、これらを踏まえて計算式を解くと以下のようになります。

1気圧とPSIの換算計算

1気圧=1013 HPa は大体14.5 PSI 程度ということになります。

飛行機の各システムは圧力をPSIを使って表現するのですが、1気圧が何PSIかを知っておくことで大体どのぐらいの圧力なのかイメージすることができますので、1気圧=14.5PSI はぜひ頭に入れておきたい数字ですね。

飛行機の各システムの圧力はどれぐらい?

では実際に飛行機に使われているシステムの圧力はどのぐらいなのでしょうか?

本題に入る前に、飛行機において圧力が制御されているシステムをまず確認しておきましょう。

まず代表的なものが油圧システム(Hydaulic System)と圧縮空気システム(Pneumatic System)です。

油圧システムはハイドロという言葉でよく通じるシステムですが、作動油をエンジンの回転力や電気モーターで加圧して飛行機各部の装置を動かすために使用されています。

圧縮空気システムはニューマチックと呼ばれますが、エンジン内で燃焼に使われる前の圧縮空気を一部抜き取り、各装置の動力源として使用したり機内の空調や与圧に使うものです。

この2つは飛行機の各装置を動かす最も重要な仕組みで、以下の記事でも紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

【飛行機の雑学】機体システムを動かす仕組み。動力は3つあります。飛行機のシステムを動かす動力源には何があるでしょうか?実はどのような機種であっても動力源になるのは3つの力なのです。3つの力はどのような力なのでしょうか?解説します。...

その他にも、飛行機は与圧された機内と外気との圧力差をモニターする必要がありますし、ランディングギアのタイヤに充填する窒素ガスの圧力にも基準値があります。

細かいシステムに目を向けると他にも圧力が関わってくるシステムはありますが、今回は今挙げた4つについて、どの程度の圧力で制御されているのか紹介したいと思います。

ハイドロシステムは3,000PSI!最近では5,000PSIの機種も。

まず、ハイドロシステムで使用される作動油は、多くの機種で3,000PSIまで加圧されて使用されるのが一般的です。

1PSIが14.5気圧でしたから、なんと200気圧もの圧力に加圧していることになります。

ハイドロシステムはエルロン、ラダー、エレベーターと呼ばれる操縦舵面や、ランディングギアの上げ下げ、ステアリングやブレーキシステムなど、飛行機システムの動きがあるところのほとんどで使われています。

飛行機ほどの大きな機械ですと、当然一つ一つのシステムを動かすには大きな力が必要となりますから、それほど大きな圧力のハイドロシステムが必要というわけですね。

エルロンの図 ラダーの図 エレベーターの図

さらにB787やA350などの最新鋭の機体では、ハイドロシステムの圧力は5,000PSIが採用されているようです。

ハイドロの圧力を上げると、油漏れ防止や圧力制御の難易度が上がりますが、圧力を上げた分だけより効率的に大きな力を発生させることができます。

近い将来のハイドロシステムのスタンダードは5,000PSIになるのかもしれませんね。

圧縮空気システムの制御値はおおよそ50PSI!

続いては圧縮空気システム(ニューマチックシステム)です。

ニューマチックシステムは燃焼器に入る前の圧縮空気を一部抽気(ブリードエアと言います)しているのですが、ブリードエアの圧力は大体どの機種も50PSI前後に制御されています。

ブリードエアはエンジンの作動状況によって常に圧力が変化しますから、抜き取った圧縮空気はPressure Regulating Valveという制御バルブを通る仕組みになっています。

Pressure Regulating Valveの開度を調節することで、下流のダクトに流れる圧縮空気の圧力を常に一定に保っているのです。

ニューマチックシステムの流れ

客室与圧の外気との最大差圧はおおよそ8.0~9.0PSI!

与圧というのは客室内に圧縮空気を送り込んで圧力を高め、機内の気圧環境を地上と同じぐらいに保つことです。

飛行機が高い高度を飛べば飛ぶほど外気の気圧が低下していきますから、仮に客室の気圧を地上と同じ程度に保とうとすると、機体の内外に発生する圧力差(ΔP:デルタピー)はどんどん大きくなっていきます。

あまりに大きな圧力差が発生すると、飛行機の構造的に耐えられなくなって破裂してしまうので、この圧力差にも限界値が定められています。

機種によっても異なりますが、一般的な旅客機ではその値が大体8.0~9.0PSIなのです。

機内の気圧は大体8,000ft(2,400m)の高度に保たれますが、そこから9.0PSIの気圧差が発生する高度を逆算すると、大体43,000ft(14,000m)付近になります。

つまり、43,000ft以上の高度では差圧が大きくなりすぎるため上昇することができないのですが、実際に飛行機のマニュアルに定められている限界高度は43,000ft前後になっています。

与圧された客室

↑機内の気圧は高度2,400mぐらい(B787では1,800mぐらい)に与圧されています。

メインランディングギアのタイヤ圧は140PSI~230PSI!

最後はランディングギアのタイヤ圧です。

自動車のタイヤにも推奨のタイヤ空気圧が決められているように、飛行機のランディングギアのタイヤにも規定の圧力値が設定されています。

飛行機の場合は必ず窒素ガスを充てんすることになっているのですが、その充填圧は大体140PSI~230PSIほどです。

サイズが小さくて荷重の小さい機体であれば値は小さく、逆に大きな機体であれば値は大きくなります。

自動車タイヤの空気圧が大体200kPa=30PSIぐらいですから、飛行機のタイヤ圧はかなり大きな値であることが分かりますね。

B777のタイヤとタイヤ圧

終わりに

いかがでしたか?

PSIは聞きなれない単位であったかもしれませんが、1気圧に換算することでいくらか取っつき易い単位になったのではないでしょうか?

さらに飛行機システムでの各制御値を見てみると、飛行機ではかなり高い圧力が使われていることも分かりますね。

今後も飛行機に関する豆知識・雑学を配信していきますので、どうぞご期待ください。

 

以上!