こんにちは。ころすけです。
以前の記事で、羽田空港から各方面へ出発する際のルートについて解説しました。
出発があるなら到着も…というわけで、今回は羽田空港に向けて各方面から到着する際のルートについて解説したいと思います。
羽田空港へ到着するパターンは大別するとたった2つ!
羽田空港では年間20万回ほど着陸が行われており、これは国内では断トツでナンバーワンの回数です。
着陸回数が多いということは、それだけ日本各地、世界各地から羽田空港に向けて飛行機が飛んでくるというわけです。
そうなると羽田空港に到着する飛行経路のパターンも、東西南北あらゆる方向からと思えそうですが、実は羽田空港に到着する経路のパターンは大別するとたった2通りしかないのです。
そのパターンとは、①空港の北側から到着するパターンと②空港の南西側から到着するパターンの2つです。
どうでしょう?
国内では飛びぬけて着陸機が多い羽田空港ですが、その到着パターンがたった2つしかないと考えると、ずいぶん取っつき易い感じがするのではないでしょうか?
考えてみれば、航空管制官はひっきりなしに飛んでくる飛行機を最終的に滑走路に対して一列に並べなければならないわけですから、空港に近づいてくる段階からある程度方面が絞られているのは当然かもしれません。
では、大まかなイメージができたところで、次は北側と南西側の到着パターンそれぞれについて詳細を見ていきましょう。
①羽田空港の北側から到着する場合
空港に北側から到着する飛行機というのは、当然ながら羽田空港よりも北側に位置する空港を出発して向かってくる飛行機になります。
具体的な例を挙げると、国内線では東北や北海道はもちろん、おおよそ能登半島よりも北側にある空港からの到着便は羽田空港に北側から到着するパターンに該当します。
国際線ではヨーロッパから到着する便と北米から到着する便も北側からのパターンになります。
さて、航空の世界では巡航経路を外れて滑走路への最終進入コースに至るまでの飛行ルートをSTAR(標準計器到着方式)というのですが、羽田空港に北側から到着するSTARは以下のとおり設定されています。
羽田空港に北側から到着するSTAR | GODIN 2A or 2K or 1C ARRIVAL |
POLIX 2A or 2K or 1C ARRIVAL | |
GODIN 1S or 1D ARRIVAL | |
POLIX 1S or 1D ARRIVAL | |
GODIN 1H ARRIVAL | |
POLIX 1H ARRIVAL | |
GODIN L or R ARRIVAL | |
POLIX L or R ARRIVAL |
あれ?ちょっと多いな?と思うかもしれませんね。
ですがよーく見てください。どのSTARの名称も「GODIN」か「POLIX」の名称から始まっています。
実はこのGODINとPOLIXは、STARの起点となるウェイポイントの名前なのです。
ウェイポイントとは飛行ルートを構成する各チェックポイントのことを指すのですが、北側から到着する飛行機は、必ずこのGODINかPOLIXを通過するようになっているのです。
下の図は羽田空港のSTARの一例ですが、GODINとPOLIXがSTARの起点になっていて、途中から合流していることが分かります。
このように基本的に空港にはSTARの起点になるウェイポイントが決められていて、各方面からの便は全て、まずはこれらのウェイポイントを目指して空港に近づいてくるのです。
下の図は各方面からのおおよその飛行経路を図示したものです。
GODINはヨーロッパや東北・北海道、さらには北米からの便が目指してくるウェイポイントになりますが、日本海側から到着する場合であっても福島・山形あたりで太平洋側に出て茨城県付近のGODINを目指すイメージです。
一方でPOLIXはハワイや中南米など、太平洋の真ん中を横切ってくる便が目指すウェイポイントになります。
ここからは少し余談になりますが、上図のようにSTARの入り口としてはGODIN or POLIXの2パターンになるのですが、先ほど紹介したSTARの数はもっとたくさんありました。
これはどういうことかと言うと、簡単に言えば風向きや天候によって着陸する滑走路や飛行経路が異なるために、STARが分かれているのです。
先ほど例として挙げたSTARの図は、天気が良い日に羽田空港へ北風で着陸する(RWY34L or 34R)場合のSTARになります。
一方で下の図は別のSTARの一例です。
入り口はGODINで同じですが、こちらは最終的に南風で着陸(RWY22 or 23)するためのSTARになるので、先ほどとは区別されているというわけです。
②羽田空港の南西側から到着する場合
続いては羽田空港の南西側から到着する場合について見てみましょう。
南西側からのパターンになる便とは、羽田空港より西側の国内空港や中国・東南アジアからの便、さらにはオーストラリア方面からの便も含まれるため数が非常に多くなります。
ここでも先ほどと同じように設定されているSTARを列挙してみましょう。
羽田空港に南西側から到着するSTAR | OSHIMA 1A or 1K or 1C ARRIVAL |
AKSEL 1A or 1K or 1C ARRIVAL | |
AROSA 1A or 1K or 1C ARRIVAL | |
OSHIMA 2H ARRIVAL | |
AKSEL 2H ARRIVAL | |
AROSA 2H ARRIVAL | |
OSHIMA 1N/2N ARRIVAL | |
AKSEL 1N/2N ARRIVAL | |
AROSA 1N/2N ARRIVAL | |
OSHIMA 1B/2B ARRIVAL | |
AKSEL 1B/2B ARRIVAL | |
AROSA 1B/2B ARRIVAL | |
OSHIMA L/R ARRIVAL | |
AKSEL L/R ARRIVAL | |
AROSA L/R ARRIVAL | |
OSHIMA or AKSEL or AROSA NIGHT ARRIVAL | |
OSHIMA or AKSEL or AROSA V ARRIVAL |
例によってSTARの数は多いですが、目の付け所は北側からの到着の時と同じです。
南西側から到着する場合のSTARの入り口は「OSHIMA」「AKSEL」または「AROSA」の3つになります。
OSHIMA、AKSEL、AROSAともに羽田空港のすぐ南にあるウェイポイントになりますが、こちらも北側からのSTARと同じように、出発地と飛行経路から3つの内どのウェイポイントを目指すのかがおおよそ決まっています。
下図はおおよその飛行経路を示していますが、大体九州北部や瀬戸内エリアから北の空港を出発する便ではOSHIMA、九州南部以南で紀伊半島よりも南のルートを通る場合はAKSEL、グアムやオーストラリアなど真南の方向からはAROSAを目指してくるイメージになります。
同じウェイポイント名から始まるSTARが複数ある理由も北側からのSTARと同じです。
下の図の1枚目はAKSELから北風(RWY34L or 34R)で着陸する際のSTAR、2枚目は南風(RWY22 or 23)で着陸する際のSTARになっています。
このように飛行機の到着経路は、滑走路に向けて徐々に交通の流れが整理されるように、所定の法則に従って予め設定されているというわけです。
終わりに
いかがでしたか?
羽田空港は日本の中でもかなり複雑に交通が入り乱れる空港であるため、到着経路の理解も一苦労な空港の1つです。
ですが順序良く話を整理していくと、実は全体としてはたった数パターンの到着経路しかないのです。
飛行機に乗って羽田空港に向かう際や、羽田空港で着陸してくる飛行機を眺める際にはぜひ、その飛行機がどのような到着経路でやってきたのか思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
以上!
~他の空港の解説はこちら~