こんにちは。ころすけです。
2020年3月から運用が開始された羽田空港の新ルートについてご存知でしょうか?
この新ルートでは羽田空港への着陸時に、新たに新宿や渋谷などの都心上空を飛行機が通過するとあって、運用開始前からニュースでも度々取り上げられていました。
着陸の新ルートの方がインパクトがあるためか、あまり注目されていない印象を受けますが、実は羽田空港からの出発経路についても新たな運用が開始されたのです。
新出発経路では、これまでよりも都心に近く、特にスカイツリーが間近に迫るようなルートを飛行するのです。
幸運にもこの新ルートを通過する便に搭乗する機会がありましたので、その様子を紹介したいと思います。
羽田空港の新出発ルートとは?
そもそも羽田空港の新出発経路とはどのようなものなのでしょうか?
まずはこれまでの出発経路との比較を行ってみたいと思います。
羽田空港で新たに設定された出発ルートはいくつかありますが、今回紹介する「スカイツリーの間近を通過する出発ルート」に該当するのは、羽田空港を北西方向(RWY34)に離陸した場合のルートです。
実際に見た方が早いので、従来のルートと新ルートを比較してみましょう。
1枚目の画像が従来のルートで、2枚目が新ルートです。
違いが分かるでしょうか?
2つのルートを重ね合わせてみると下の画像のようになります。
赤色の点線が従来のルートになりますが、従来は北上する前に一度千葉県側に真東に向かっていたのが、新ルートではもっと西寄りの場所で北上を開始していることが分かります。
このように新ルートでは離陸直後、より東京の都心に近いところを通過しながら上昇していくのです。
離陸後間もないということは高度もそれほど高くないことを意味しますから、東京都心の景色がこれまでよりも間近に見えるということなのです。
そして経路のすぐ近くにあるのがスカイツリーです。
新ルートでは、従来よりももっと間近にスカイツリーを機内から見ることができると期待されるのです。
ちなみに新ルートをよーく見てみると、荒川の流れにぴったり沿って北上していることが分かります。
実はこれは偶然ではありません。
新ルートでは都心部での騒音に配慮して、敢えて飛行経路の真下が住宅地に重ならないように経路設定されているのです。
飛行機の騒音は真下のエリアで最も大きくなりますから、真下が川になるように配慮したのです。
これによってどれほど騒音が低減できるか定かではありませんが、このように柔軟な経路設定が可能になったのは、実は飛行機のナビゲーションシステムの進歩というのも背景にあるのです。
着陸時も含めて羽田空港の新ルートについては以下の記事でまとめていますので、ぜひご覧になってみてください。
新ルート搭乗レビュー!スカイツリーが間近に見えます。
それでは、実際に僕が搭乗した便からの景色を紹介しましょう。
搭乗したのはANA675便の広島空港行きで、9:25に羽田空港のRWY34Rを離陸しました。
まずは離陸直後の景色ですが、これは今までと変わりありません。↓
離陸後すぐにやや右(東向き)に針路を取りますが、ここも従来ルートと同じです。目の前にはレインボーブリッジとお台場が見えています。↓
ここからいよいよ新ルートに入ります。従来ルートではさらに千葉県に向かって東進するところを、早々と左旋回して北上します。
有明や豊洲のビル群が左手に大きく見えますね。↓
ここで窓のやや前方に目をやると、お待ちかねのスカイツリーがすぐそこに見えてきます。
ここではまだ高度が高くないことに加え、旋回で姿勢を傾けているのもあり、左翼でスカイツリーを薙ぎ払わんばかりの位置関係に見えます。↓
スカイツリーのほぼ上空に来ました。イメージとしてはスカイツリーを中心にして、さらに左旋回で針路を西に向けていきます。
この時点ではさすがにスカイツリーよりもはるかに高い高度に達していますが、位置関係としてはこれ以上ないぐらい近接しています。↓
ほぼ真上から見るような位置関係ですが、正にGoogle Earthの3D画像のように見えます。
スカイツリーを過ぎると都心の周囲を沿うように針路を西に向けていきますので、左手には東京の街並みが一望できます。
東京ドームや新国立競技場もばっちり視界に入りますね。
ここからおまけの画像ですが、広島行きの便はその後、富士山のすぐ北側を通過する航空路に接続します。
都心の景色に続いて富士山もきれいに拝めました。
頂上付近の雪はそれほど積もっていないように見えます。
良く見ると雪が積もった頂上付近に登山道と思しきギザギザの線が見えますね。
以上、新出発経路から見た都心上空の様子でした。
これを見ても分かるとおり、もしも新ルートで飛行する便に運よく当たった場合は、ぜひとも左の窓側席をチョイスすることをお勧めします。
右側の席ですと、残念ながら大して面白い景色は見えないと思います。
基本的に左旋回ばかりするので、おそらく旋回の度に天を仰いて空しか見えないことが予想されますね。。。
新出発ルートに該当するのはどこ行きの便?事前に分かるの?
新経路は羽田空港からの全ての出発便が飛行するのでしょうか?
答えはNOで、新ルートを飛行する条件は、①風向き、②行き先、③時間帯の3要素を満たす必要があります。
これらの条件をまとめると以下のとおりです。
① 風向き・・・北風運用(RWY34からの離陸)であること。
② 行き先・・・標準出発経路がROVER or BEKLA or RITLAという名称のポイントを目指す方式であること。
③ 時間帯・・・7:00~11:30もしくは15:00~19:00に離陸する便であること。
①について、新ルートは北に向かって離陸する場合の経路になりますから、まずは風向きが北風で滑走路を340度の方向に離陸する運用であることが条件になります。
②は専門的ですが、この荒川の真上を北上していく飛行経路はROVER Departure、BEKLA DepartureまたはRITLA Departureと呼ばれる標準計器出発方式(SID)に採用されています。
なのでROVER、BEKLAもしくはRITLA Departureを使用する便が該当するのですが、具体的には行先を以下のとおりです。
ROVER DEPARTURE
東北・北海道・北米・ヨーロッパ方面
BEKLA DEPARTURE
中部国際空港・北陸(富山、小松、能登など)・山陰(鳥取、出雲など)・韓国・中国北部(北京や瀋陽など)方面
RITLA DEPARTURE
福岡・広島・長崎
羽田空港の標準出発経路と行き先の関係は以下の記事で詳しく紹介しています。
最後に③ですが、新ルートは都心への騒音問題に配慮して、時間帯を制限した運用となっています。
今回のルートが使用されるのは、7:00~11:30もしくは15:00~19:00に離陸する便以外は該当しないので注意が必要です。
やや専門的な内容もありましたが、この3条件を押さえておけば、自分が搭乗する便が該当するかそうでないか事前に予想することができるのです。
搭乗する便が該当すると分かり、あとは座席指定の際に左側の席を確保できれば、今回紹介した景色を拝むことができるのです。
終わりに
いかがでしたか?
羽田空港の新飛行ルートは騒音問題などもあって、ネガティブなイメージを持っている方も多いのではと思います。
ですが目線を変えて飛行機に搭乗する場合を考えると、新たに今までとは違った景色を見る機会が生まれたということでもあるのです。
もしも興味がありましたら、ぜひ自分が搭乗する便が新出発経路に該当するかどうか事前に予想をして、新しい景色を楽しんでみてはいかがでしょうか?
以上!