飛行機

飛行機が飛べる限界高度はどのぐらい?3つの意外な制限と理由。

こんにちは。ころすけです。

突然ですが、飛行機(旅客機)が飛べる最も高い高度がどのぐらいかご存知でしょうか?

もちろん、飛行機は際限なく高い高度を飛べるわけではなく、操縦マニュアルに限界が定められています。

実は飛行機の高度を制限する要素は1つではないんです。

飛行機が飛ぶ限界高度とその理由を解説します。

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旅客機の最大飛行高度は12,000~13,000m

結論から言うと、旅客機の飛行限界高度はどれも大体高度12,000~13,000mになっているのが普通です。

飛行機の場合、高度はフィートの単位を使って表しますが、フィートだと39,000~43,000ftになります。

なぜこの高度が限界になっているかと言うと、厳密に言えばその高度が限界となるように設計されているからです。

旅客機は売り物ですから、実用範囲外の高度を飛べるようなオーバースペックは必要ありません。

なので飛行高度に対する種々の制限が、おおよそこの高度になるように設計されているのです。

では飛行高度の制限となる理由はどんなものがあるのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

飛行機の限界高度を決める3つの制限

飛行機の飛行高度を制限する要素は主に3つあります。

1. 機体強度による制限

2. エンジン推力による制限

3. 空力的な制限

1. 機体強度による制限

まず始めに機体強度による制限ですが、これは風船が割れるか割れないかの限界に近いものがあります。

高高度を飛行する飛行機は与圧されている必要があります。

与圧とは飛行機内部に空気を送り込んで、中の気圧を一定の限度に保つことを言います。

飛行機が飛ぶ高度1万m以上というのは、人間が息をすることなどできないぐらい空気が薄いので、与圧をして空気の濃度を高める必要があるのです。

多くの飛行機では、機体の内部の気圧が大体8,000ft (2,400m)、高山病にならないぐらいの高度と同じ程度に与圧しています。

なぜ地上と同じぐらいの気圧にしないの?と疑問が湧くかもしれませんが、実はここに機体強度と限界高度が関係してくるのです。

下の図を見てください。

与圧と外気圧による力のイメージ

飛行機の内部は搭乗者が息をするために、どんなに高い高度であっても8,000ftの気圧に保たれています。

ではこの状態で飛行高度をどんどん上げていったらどうなるでしょうか?

飛行機内の気圧は8,000ftの気圧のままですが、外の気圧は高度が上がるにつれてどんどん下がっていきます。

そうすると、機体の中と外の圧力差によって、機体構造には内側から機体を膨らませる方向に力が働きます

つまり、ある限界の高度まで達すると機体構造が内側からの力に耐えられなくなり、ついには機体が破裂してしまうのです。

与圧と外気圧との圧力差で機体が破裂するイメージ

この強度限界が高度12,000~13,000m(39,000~43,000ft)に達した時となっているのです。

与圧を8,000ftとやや低めの気圧に設定しているのは、中の気圧を地上と同じ高さに設定していると、限界高度がもっと低くなってしまうからなのです。

高度が上がりすぎると与圧によって機体構造が破壊されてしまう

2. エンジン推力による制限

飛行高度を制限する要素は他にもあります。

高高度を飛行する旅客機に搭載されているエンジンはジェットエンジンです。

ジェットエンジンは吸い込んだ空気を後方に高速で噴射することで推進力を得ているのですが、実はジェットエンジンの推力は高度が上がるとともに低下してしまいます

理由は、高度が上がると空気の密度が低下するからです。

ジェットエンジンの推力の大きさは、後方に噴射した空気の流量の大きさと速さによって決まるのですが、空気密度が小さくなると噴射する流量が小さくなってしまいます。

従って高度が上昇すると機体を上昇させるだけの力が得られなくなり、次第に上昇率が悪くなって、ついには上昇することができなくなってしまうのです。

高度に伴う上昇率の減少イメージ

一般に上昇率が300ft/分(約100m/分)程度になる高度がエンジン性能による上昇限界だと言われていますが、これはその日の機体重量や外気温によって変わります。

機体重量が重い日や、外気温が高くて空気密度が薄いような日では、12,000m(40,000ft)に上がれない日も出てくるのです。

高度が上がりすぎると飛行機を上昇させるだけの推力が出せなくなる

3. 空力的な制限

最後の要素は空力的な制限です。

飛行機は、前方からぶつかってくる空気の圧力がある一定以上になるようにして飛行しています。

なぜなら、飛行機に働く揚力の大きさは、ぶつかってくる空気の圧力に比例するからです

高度が上がると空気密度が小さくなりますが、そうすると飛行機は空気に対してより速く飛ぶ必要が出てきます。

空気密度が低い場合、そうしないと同じだけの圧力を受けることができないからです。

ここで問題が発生します。

同じ圧力になるように空気に対する速度を上げていくと、あるところで音速に近づく、または超えてしまうのです

空気密度による飛行速度の違いのイメージ

旅客機の場合は音速を超えて飛行することを想定していませんから、音速を超えた場合には著しく挙動が乱れたり、揚力が発生しなくなったり、構造破壊につながる場合もあります。

そうならないためには受ける圧力を小さくして(遅い速度で)飛行するのですが、そのためには気流が翼に当たる角度を大きくして、遅い速度でも揚力が発生するようにしなければなりません。

ですが、この角度もつけすぎると、翼に気流がきれいに流れなくなって揚力が発生しなくなってしまいます

翼と気流の角度と揚力の喪失イメージ

高度が上がりすぎると、速度を速くしても遅くしても安全に飛行することができなくなってしまうのです。

高度が上がりすぎると速度が速くても遅くても機体が不安定になる

旅客機の巡航高度は10,000~12,500mが多い

ここまでで、飛行機(旅客機)が飛行できる限界高度とその理由を説明しました。

では実際はそのぎりぎりまで上昇するのかと言うとそうではなく、大体10,000~12,500m(34,000~41,000ft)が巡航高度として選ばれる場合が多いです。

限界高度とは別に燃費を考えた時、飛行機をあまり高い高度まで上げ過ぎると上昇するのに燃料を使いますし、あまりに高い高度ではエンジン推力が低下して燃費が悪いからです。

そのあたりも考慮して、旅客機は大体10,000mを少し超えるぐらいの高度を巡行するのが普通なのです。

目的地までの距離が短い路線の場合は、上昇してもすぐに降下しなければならないので、25,000~30,000ftぐらいになります。

目安として飛行時間(離陸から着陸まで)が1時間を切るようなフライトですと、30,000ft(9000m)以下を巡航するイメージです。

一方、旅客機よりも軽く機体重量の割にエンジンが強力なビジネスジェットなどは、もっと高高度でも効率が良いので14,000~15,000mを通常でも飛びます。

もちろん、このようなビジネスジェットは限界高度が15,000m付近になるように設計されているのです。

旅客機の通常の巡航高度は10,000~12,500m(34,000~41,000ft)
ただし距離が短い路線では低い高度を飛ぶ。

フライトレーダー24で飛行高度を見てみよう

最近知名度が増しているフライトレーダー24というサイトがあります。

飛行中のリアルタイムの飛行機の位置や飛行高度を簡単に見ることができる面白いサイトです。

このフライトレーダー24を開いて地図上の飛行機をクリックしてやると、左側に飛行速度や飛行高度の詳細が出てきます。

フライトレーダー24の画面例

これを使って、実際に飛行機がどのぐらいの高度を飛んでいるのか、最高でもどのぐらいの高度までで飛んでいるのか、探ってみるのも面白いと思いますよ。

まとめ

・旅客機の最大飛行高度は12,000~13,000m(39,000~43,000ft)

・飛行高度の限界は、機体強度、エンジン推力、空力的要素で制限される

・旅客機の通常の巡航高度は10,000~12,500m(34,000~41,000ft)

・フライトレーダー24を使えば実際の飛行機の飛行高度を調べることができる

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