こんにちは。ころすけです。
飛行機に乗る時、目的地までどのような経路(ルート)で飛んでいくのか気になりますよね?
国内であれば日本海側を飛んでいくのか、それとも太平洋側を飛んでいくのか。
実は飛行機が飛ぶ経路は大体いつも決まっていて、出発してすぐどちらの方向に向かうのかでほとんど決まっていると言っても良いぐらいです。
今回は関西地方の国内線の拠点であり、日本各地とのアクセスがある伊丹空港について、各目的地別の出発経路を見ていきたいと思います。
伊丹空港からの出発機に対する管制機関指定の経路
エアラインの飛行機が運航する際、航空会社は管制機関に対して飛行計画(フライトプラン)を提出しなければなりません。
このフライトプランの項目の1つに飛行経路が含まれるのですが、エアラインの定期便が就航するような大きな空港では、管制が複雑になりすぎないよう予め指定の経路が周知されています。
下の画像は管制機関から指定される経路を周知した文書の例で、伊丹空港を出発する便に関する部分を抜粋したものです。
例えば伊丹空港から北海道、東北に向かう場合は「for Hokkaido/Tohoku」と書かれている部分が指定経路です。
この場合の経路は以下の2つが指定されています。
RJOO(伊丹) → MINAC → GUJYO → Y13
RJOO(伊丹) → MINAC → YOKKA → KCC(NAGOYA)→ Y312/V31
いずれもMINACと呼ばれるチェックポイント(ウェイポイント)を通るのは共通ですが、その後はY13という名称の航空路に接続する経路と、Y313/V31という航空路に接続する経路で異なっています。
いずれにしても北海道、東北方面へ向かう便は、基本的に上のどちらかの飛行経路を使用することが分かるのです。
伊丹空港からの出発ルートを目的地別に整理してみよう
それではここからは、伊丹空港から出発した飛行機が具体的にどの経路を飛行するのか、目的地別に見ていきたいと思います。
①北海道、東北方面へはMINAC DEPARTURE経由
まずは北海道、東北へ向かう出発経路ですが、これらの方面へはMINAC(ミナック) DEPARTUREという標準計器出発方式(SID:Standard Instrument Departure)が指定されています。
MINAC DEPARTUREでは、伊丹空港をRWY32(北西向き)で離陸した場合は離陸後すぐに左270度旋回をし、またRWY14(南東向き)で離陸した場合もすぐに左90度旋回して、滋賀県方面へと向かいます。
その後は途中、MINACというウェイポイントを境にGUJYO(グジョウ) TRANSITIONとNAGOYA TARNSITIONという経路に分かれます。
どちらのTRANSITIONも岐阜県付近を横断して日本海側に出るのは同じですが、GUJYO TRANSITIONは新千歳、函館、青森行き、一方でNAGOYA TRANSITIONは新潟、山形、花巻、秋田と北海道東部方面行きの経路になっています。
TRANSITIONというのは、SIDから航空路(Airway)に接続するまでを繋ぐ経路なのですが、TRANSITION以降の経路は下図のようになっています。
GUJYO TRANSITIONでは日本海側の海上に出た後、さらに北上して青森、北海道へと向かいます。
一方でNAGOYA TRANSITIONでは県営名古屋空港の上空を通過した後、さらに新潟空港の上空に至ります。
新潟空港以降はそれぞれの目的地に向けて、日本列島を横断するように針路を東方向に向けていくのです。
さらにNAGOYA TRANSITIONからは新潟へ向かう経路のほか、長野、群馬県方面への航空路も接続していて、これは福島空港や仙台空港へ向かう飛行経路になります。
NOGAYA TRANSITIONの終点である県営名古屋空港を通過したのち、東北東に針路を取り、群馬県・栃木県付近を抜けて福島・仙台方面へ向かうのです。
②羽田・成田行きはASUKA DEPARTURE経由
大阪-東京間のビジネス路線として需要の高い羽田空港や成田空港へ向かう便は、ASUKA(アスカ) DEPARTUREを使用します。
ASUKA DEPATUREも先ほどのMINAC DEPARTUREと同じく、離陸後すぐに東に針路を取るのですが、こちらはほぼ真東に愛知県の知多半島を目指す経路です。
知多半島を超えた先のSHTLE(シャトル)に到達すると、羽田空港へは静岡県の沿岸を沿うように伊豆大島へと向かい、ここから羽田空港への到着経路へ接続します。
成田空港へはSHTLE以降、静岡県沿岸から一旦陸地を離れるように海上に出て、三宅島付近から房総半島を回り込むような経路を辿ります。
③西日本方面はTIGER DEPARTURE経由
伊丹空港から西側の空港へはTIGER DEPARTUREでの出発となります。
まず下の図は隠岐や出雲、但馬といった山陰方面に向かう場合の経路です。
TIGER(タイガー)はちょうど神戸市上空のウェイポイントですが、ここからTOZAN(トーザン)、ASAGI(アサギ)に向けてTRANSITIONが設定されています。
但馬空港へ向かう場合はASAGIから針路変更するのですが、ここからすぐに但馬空港の到着経路に繋がります。
一方でTOZAN以降は米子市や松江市上空に向かう航空路に接続していて、ここから出雲空港や隠岐空港に繋がるのです。
さらに続いては、伊丹空港から真西方面の空港へ向かう場合です。
先ほどと同じくTIGER以降、TRANSITIONがSOUJA(ソウジャ)、WASYU(ワシュウ)に向かって伸びています。
SOUJA以降はそのまま山陽側を西に進んで福岡・長崎へ、WASYU以降は瀬戸内海から豊後水道を横断するように松山や大分へと向かうのです。
また高知空港へ至る経路として、SOUJAやWASYUへ至る途中のAYAME(アヤメ)で経路が分岐しています。
高知空港へは次に紹介するAWAJI経由の方が主流のようですが、指定経路の1つなのです。
そして最後は、九州南部や沖縄方面へ向かう場合です。
この場合もTIGER DEPARTURE経由になりますが、AWAJI(アワジ) TRANSITIONという飛行経路が設定されています。
AWAJI TRANSITIONは文字通り、淡路島上空のAWAJIまで至る飛行経路です。
AWAJI以降は四国を横断するように高知空港上空へと繋がり、そこからさらに土佐清水市を経由して宮崎や鹿児島、南西諸島方面へと向かう航空路に繋がるのです。
以上が伊丹空港から出発する際の、各方面別の飛行経路になります。
終わりに
いかがでしたか?
伊丹空港からの目的地は多岐に渡りますが、出発は概ね3つの標準計器出発方式(SID)に集約されているのです。
SIDは共通ですが、TRANSITIONによって各方面への経路が区別されている点が特徴と言えるかもしれません。
実を言うと伊丹空港からのSIDは他にもあるのですが、定期便として就航している目的地へは今回紹介した経路が基本となります。
その他のSIDが使用されるのは、定期便以外の就航地へ向かう場合や悪天候時に迂回経路を選択する場合、搭載している航法装置で飛行経路が制限される場合などです。
伊丹空港から飛行機に乗る機会がある方は是非、事前に飛行経路を把握した上で飛行機に搭乗してみてはいかがでしょうか?
以上!