飛行機

空港のローカルルール!ちょっと変わった運航制限について紹介!

こんにちは。ころすけです。

飛行機の運航において、各空港にはそれぞれローカルルールがあるってご存知でしょうか?

これらのルールは何の意味もなく決められているわけではありません。

ただ従えばよいと考えるだけであれば単なるルールに過ぎませんが、中身をよーく見てみると、その空港に特有の事情や社会問題を垣間見ることができるのです。

国内空港におけるローカルルールをいくつか紹介します。

空港にはそれぞれローカルルールがあります。

各空港のローカルルールはきちんとした文書で明文化されています。

下の画像はAIP(航空路誌)と呼ばれる文書の一例ですが、AIPには航空機の運航において運航者が従わなければならないルールや手順が定められています。

AIP例の図

画像では成田空港のAIP情報を例にしていますが、RJAAは成田空港を示す空港コードです。

さらにAD2.2 AERODROME GEOGRAPHICAL AND ADMINISTRATIVE DATAとなっており、ここには成田空港の地理的情報や管理者の情報が記されています。

このようにAIPの各空港ページでは記載すべき情報の項目が決まっていて、その中にその空港におけるローカルルール(Local Regulations)について書かれる項目があるのです。

空港での運航ルールはエアラインの旅客機だけでなく、利用しようとする全ての運航者が従わなければならない規則ですが、AIPによって明文化されることで周知されているのです。

ここからはAIPに記載されたローカルルールについて、原文も交えて紹介していきたいと思います。

その1. ランディングギアダウンはお早めに。(成田)

まず始めは成田空港におけるLocal Regulationについてですが、AIPには以下のような記述があります。

Gear down operation during approach to RWY34L/RWY34R.

In order to prevent ice clocks falling from aircraft onto the ground, all flights making an approach to RWY34L/RWY34R from the seashore are required to complete gear down and locked before reaching IYQ 11.8DME for RWY34L/ITJ 13.6DME for RWY34R as far as the safety of the flight is not compromised.

(和訳)

RWY34LおよびRWY34Rへ進入中のギアダウン操作について

機体から地面に氷塊が落下することを防止するため、海岸からRWY34LまたはRWY34Rに向けて進入する全ての便は、飛行の安全を損なわない範囲でRWY34LにおいてはIYQ 11.8DMEに達するまでに、RWY34RにおいてはITJ 13.6DMEに達するまでに完全にギアダウンし、ロックしなければならない。

RWY34LおよびRWY34Rとは、成田空港に2本ある滑走路に北西方向に着陸する際の滑走路名称になります。

飛行機は巡航中、着陸装置(ランディングギア)を胴体に格納していますが、着陸直前にはランディンギアを下ろします。

特に冬場は巻き上げた雪などがランディングギアに付着して、さらに上空のマイナスの気温にさらされて氷塊となる場合があるのですが、この氷塊がギアダウンと共に地上に落下してしまうことがあるのです。

この氷塊が万が一落下しても地上への影響が出ないように、ギアダウンする位置について成田空港特有のルールが定められているのです。

IYQ 11.8DMEやITJ 13.6DMEとは、グライドスロープと呼ばれる飛行機に適正な降下角を示す地上施設からの距離を表しています。

着陸してくる飛行機のコックピットにはグライドスロープからの距離が表示されるようになっているため、このように指定することでパイロットは実際にどの地点までにギアダウンをすれば良いのか分かるのです。

ちなみにIYQ 11.8DMEとはRWY34Lのグライドスロープから11.8NMを意味していて、1NM=1.852kmですから、RWY34Lの手前21.85kmの地点になります。

これを図示したものが下の図です。

成田空港のギアダウン制限位置

IYQ 11.8DME / ITJ 13.6DMEともに、ちょうど千葉県の海岸線上の地点であることが分かります。

この地点までにギアを下ろすということは、要するに「海上でギアダウンしなければならない」という意味なのです。

海上であれば氷塊が落下しても地上への被害はほとんどありません。

実は内陸の市街地にある空港でも、このようなローカルルールを定めているのは成田空港だけです。

ランディングギアへの氷塊の付着は、特に高高度を長時間飛行してくる国際便で発生しやすいものなので、国際線の便数が多い成田空港に特有のルールになっているのです。

その2. 3発機以上は運航してはいけません!(伊丹)

続いては伊丹空港(大阪国際空港)でのローカルルールです。

In order to reduce the noise impact in the vicinity of airports, no jet airplane fitted with three or more engines shall be permitted to operate except in an emergency situation or with prior permission of the airport administrator.

(和訳)

空港周辺の騒音低減のため、3発以上のエンジンを搭載した飛行機は、緊急事態の場合か空港管理者から事前の許可を得た場合を除き運航してはならない。

エンジンが3発以上の飛行機というと、B747A380といった超大型の旅客機になります。

飛行機の騒音は重量が重いと大きくなる傾向にあるので、周辺への影響を考慮して運航が禁止されているのです。

さらにエンジンが2発以下の飛行機に対しても、騒音に対する基準が以下のように決められています。

No aircraft which produce the noise exceeding the maximum allowable levels shown in the following table, shall, except in an emergency situation, be permitted to operate. However, A-300 type of aircraft shall not exceed the noise level 97dB(A) whenever take of from RWY 32L/R.

22:00-11:00 / 107dB(A)

11:01-12:00 / 100dB(A) for takeoff, 107dB(A) for landing

(和訳)

下表に示す最大許容レベルを超える騒音を発する航空機は、緊急の場合を除いて運航してはならない。ただし、A-300型機については RWY32L/Rからの離陸において騒音レベル97dB(A)を超えてはならない。

日本時間 7:00-20:00 / 107dB(A)

日本時間 20:01-21:00 / 離陸は100dB(A)、着陸は107dB(A)

伊丹空港も市街地に近接して設置されている空港で、騒音が社会問題となることから、このような厳格な制限が課されているのです。

その3. 機種限定?B777-300は運航不可!(山口宇部)

お次はちょっと詳細が不明ですが、他の空港にはない記載ぶりのルールについてです。

B773 cannot use this airport due to unsuitable TWY structure, except in an emergency.

(和訳)

誘導路の構造が適していないため、緊急の場合を除いてB777-300は本空港を使用することはできない。

こちらは山口宇部空港のAIPの記載ですが、B777-300に絞って使用不可とわざわざ書いてあるところが特徴的です。

B777-300は大型の部類に入りますから、おそらく誘導路の幅や強度上の問題で運航不可とする必要があるということなのでしょうが、それより大きなB747やA380は良いのか?と疑問が湧きますね。

山口宇部空港の滑走路長は2500mで大型機にとっては短いですし、旅客需要を考えてもB747やA380が除外されることは自明ということなのかもしれません。

いずれにしても、これほどピンポイントで特定の機種が禁止されているのは珍しいかと思いますので紹介させていただきました。

最近見かける機会が増えてきたA350サイズですと、ひょっとしたらB777-300と同様の問題があるかもしれませんが、AIPの記載も今後変わるかもしれませんね。

その4. 逆噴射は最小でお願いします。(伊丹・福岡)

Between 1000UTC (1900JST) and 2200UTC (0700JST), pilots are required to limit the use of reverse thrust to idle reverse after landing.

(和訳)

日本時間の19時以降翌朝7時までの間、着陸機におけるリバーススラスト使用についてはアイドルまでに制限する。

リバーススラストとはいわゆる逆噴射装置のことです。

リバーススラストはレバーの引き具合によってアイドルからフルリバースまでの調整が可能なのですが、夜間は最小であるアイドルリバースに抑えなければならないのです。

理由は福岡空港も伊丹空港も市街地に近いエリアにある空港であるため、近隣への騒音の影響をできる限り小さくする必要があるからです。

伊丹空港については、先ほど挙げたエンジン3発以上の飛行機運航不可や2発機の騒音値制限に加えて、リバーススラストについても制限があるのです。

市街地に近い以外に両空港に共通する点として、離発着数が国内随一であることも挙げられます。

このような空港では空港の存在自体が周辺社会に与える影響が大きく、それに伴って他の空港にはないローカルルールが設定される傾向にあるのです。

終わりに

いかがでしたか?

今回挙げたものの中には、ニュースなどで耳にしたことがあるルールもあったかもしれません。

AIPを見ることで、これらのルールが実際にどのように明記され運用されているのか、きちんと理解することができるのです。

AIPは記載内容を理解するには少々専門知識が必要な文書ですが、無料のアカウントを登録すれば誰でも閲覧することが可能です。

AIPの閲覧先は以下の記事でも紹介しています。

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もしも興味がありましたら、各空港の運航規則について他にどのように書かれているのか、覗いてみてはいかがでしょうか?

 

以上!

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