飛行機

ジェットエンジンの種類!4種類のタイプがあります。

こんにちは。ころすけです。

ジェットエンジンと聞くとどのような外観をイメージするでしょうか?

おそらく大方のイメージは樽のような、最近ではトイレットペーパーのようなずんぐりとした筒型のタイプではないでしょうか?

そのイメージは正解ではあるのですが、他にも”実はこれもジェットエンジン”というものが存在するのです。

今回は様々な種類のジェットエンジンを紹介したいと思います。

ジェットエンジンには4種類のタイプがある!

一般的にジェットエンジンを分類すると、実は以下の4種類のタイプに分けることができます。

① ターボジェットエンジン

② ターボファンエンジン

③ ターボプロップエンジン

④ ターボシャフトエンジン

細かいことを言いますが、厳密にはこれは”狭義”のジェットエンジンの種類になります。

後述しますが、狭義のジェットエンジンとは軸回転する圧縮機とタービンを持ち、動力の源となる空気をせき止めることなく噴射して推進力を得るジェットエンジンのことです。

“広義”のジェットエンジンですと、実は部品としての圧縮機やタービンを持たないジェットエンジンが存在するのですが、こちらは実用例がほとんどないというか研究段階のジェットエンジンなのです。

実用化されていて広く一般に見られるジェットエンジンの中では、上に挙げた4つの種類に分類されるのです。

4種類のジェットエンジンを理解しよう!仕組みは同じだが、アウトプットが違う?

それでは続いて、4種類のジェットエンジンがどのようなものか具体的に見ていきましょう。

タイプの違いのポイントとして、4種類のジェットエンジンが作動する仕組みは実はどれも同じです。

異なるのは「最終的な出力をどのように使うのか?」という点なのですが、それを頭の片隅に置きながらそれぞれの説明に進むと良いでしょう。

1. ターボジェットエンジン

まず始めはターボジェットエンジンですが、これは一番最初に開発された最も原始的なジェットエンジンと言えます。

いわば最も旧式なジェットエンジンであるため、現在もなお実装されている機体はほとんどないかもしれません。

下の図はターボジェットエンジンの構造と仕組みのイメージです。

ターボジェットエンジンのイメージ図

ターボジェットエンジンは、まず吸い込んだ空気を前方にある回転式の圧縮機で圧縮しながら後方の燃焼室に送ります。

圧縮した空気は燃焼室で燃料と混合されながら燃焼され、その時に発生するエネルギーによって加速させられながら、最後は後方にジェット噴射として排出されます。

このジェット噴射による反作用がいわゆる推力になるわけです。

燃焼された空気の力の一部は排出の過程で後方のタービンを回す力として利用されますが、このタービンは圧縮機とつながっており、タービンからの力で回転する圧縮機が次の空気をまた圧縮するという連続行程を実現しています。

このように空気の吸引から圧縮、燃焼、排出の一連の過程を、空気をせき止めることなく連続で行うのがジェットエンジンの大きな特徴です。

これは時間あたりに吸引、排出する空気の量を大きくできることに繋がるのですが、排出する空気の量が多いということはそれだけ出力が大きいということでもあります。

ジェットエンジンが巨大な機体を動かすほどの高出力を出せる大きな理由の1つなのです。

2. ターボファンエンジン

次はターボファンエンジンですが、このエンジンこそ多くの人が想像するであろうジェットエンジンかと思います。

ターボファンエンジンの大きな特徴は、圧縮機の前にその名のとおり巨大な「ファン」が付いている点ですが、それ以外のコア部分を見るとターボジェットエンジンと変わりありません。

ターボファンエンジンのイメージ図

ターボファンエンジンはタービンを回した後のジェット噴射でさらにタービンを回し、最前方にあるファンを回しているのです。

なぜこのようにするのかと言うと、まずターボジェットエンジンでは燃焼した空気を後方へ高速で排出することで大きな推力を得ていました。

ちょうど、水の中で脚を後方へ勢いよく蹴りだすと前へ大きく進むように、一点に集中する力を高めて推力を出していたわけです。

ですがこの方法ですと、排出したジェット噴射と周りの空気との間に抵抗が生じてしまい、エンジンの推進効率が抑えられてしまうのです。

そこで考案されたのがターボファンエンジンです。

ターボファンエンジンは高速で排出していたジェットの力の大部分を使って大口径のファンを回すのですが、このファンが今度は大量の空気をゆっくりと後方へ噴射することで推力を発生させます。

こうすると推進効率を高く維持したまま、ターボジェットエンジンと同等の推力を得られるのです。

水泳の例で言えば、足を強く蹴りだすのではなく、足ヒレを付けてゆっくりと大きく水を押し出すイメージです。

ジェット噴射の排出スピードが下がると、周りの空気に伝わる振動も小さくなりますから、ジェットエンジンが発する騒音も小さくすることができます

かつて特に離陸の際には、エンジンが爆音を響かせながら飛行機は離陸していましたが、最近の飛行機ではかなり騒音も静かになっています。

このような理屈からファンをより大きくして、より大量の空気をゆっくり噴射すると効率が高まることが分かりますが、そのためにはエンジンの径をどんどん大きくする必要が出てきます。

ファンによって排出されたジェット噴射の割合と、燃焼後にそのまま高速で排出されたジェット噴射の割合の比をバイパス比というのですが、最新のエンジンはバイパス比が10:1程になるまで大口径化しているのです。

下の画像は1950年代に登場したDC-8という機体ですが、装備しているのは低バイパス比のターボファンエンジンで細長い筒型の形状をしています。

DC-8の画像Michel Gilliand – Gallery page http://www.airliners.net/photo/Japan-Air-Lines/McDonnell-Douglas-DC-8-62/0574533/LPhoto http://cdn-www.airliners.net/aviation-photos/photos/3/3/5/0574533.jpg, GFDL 1.2, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=27063935による

 

↓最近の飛行機ではバイパス比が高くなり大口径化した結果、樽型の形状になっています。写真はB787。

B787の画像

3. ターボプロップエンジン

続いてはターボプロップエンジンです。

これも名前から分かるとおり、ジェットエンジンにプロペラが付いたタイプと想像ができます。

ターボプロップエンジンのイメージ図

構造としてはターボファンエンジンと同じですが、ターボプロップエンジンはジェット噴射の100%をプロペラの回転に利用しています

また、カウルに覆われているのは圧縮機や燃焼器などエンジンのコア部分だけであり、プロペラが外にむき出しになっています。

実は旅客機の中でいわゆるプロペラ機と呼ばれているものは、ほぼ100%ターボプロップ機に分類されます。

プロペラ機であっても、エンジンはジェットエンジンの一種だったんですね。

下の画像は国内でよく見られるプロペラ機のDHC-8-Q400ですが、搭載しているのはターボプロップエンジンです。

DHC-8-Q400の画像

プロペラの後ろには圧縮機への吸気口が確認できます。

ターボプロップエンジンの吸気口

ターボプロップエンジンもターボファンエンジン同様、大量の空気をゆっくり押し出すので推進効率が良いエンジンとされています。

ですが、高速飛行には向かない特性があるため、高高度を高速で飛行する旅客機ではターボファンエンジンが主流になっているのです。

4. ターボシャフトエンジン

最後はターボシャフトエンジンです。

こちらもジェットエンジンにシャフトがついているわけですが、シャフトって何?というところでしょうか。

シャフトとは軸のことで、ターボシャフトエンジンではジェットエンジンの出力を軸の回転力として取り出します。

ターボシャフトエンジンのイメージ図

実際の例を見た方が早いですが、ターボシャフトエンジンと言えば挙げられるのがヘリコプターです。

ヘリコプターのエンジンも実はジェットエンジンであるものが多く、ジェットエンジンから取り出した軸の回転力でローターを回転させているのです。

ターボシャフトエンジンの例(ヘリコプター)

終わりに

いかがでしたか?

一口にジェットエンジンと言っても、実はその種類は様々なんですね。

特にターボプロップエンジンやターボシャフトエンジンでは、「えっ?これもジェットエンジンだったの?」と思った方もいらっしゃったのではないでしょうか?

ジェットエンジンと言えばターボファンエンジンを指す場合が圧倒的に多いですが、その他のジェットエンジンのタイプにもぜひ注目してみてはいかがでしょうか?

 

以上!

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