飛行機

飛行機の翼の先のコレは何?避雷針ではありません!

こんにちは。ころすけです。

飛行機に乗って窓の外の翼をよく見てみると、翼の先端にトゲトゲの突起が付いているのが分かります。

これが何だかご存知でしょうか?

「避雷針だ!」と答える方や、別の何かだと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、正解は如何に。

解説します。

飛行機の翼の先のコレは何?避雷針ではありません!

結論から言うとこれは避雷針ではありません

避雷針というのはビルなどの建物についているものですが、敢えて雷を導くことによって意図した経路で雷の電流を地面へと導くものです。

避雷針の例

飛行機の場合は空中を飛んでいますから、雷を受けてしまった場合に逃がす地面などは存在しないので、避雷針を付けることはできないのです。

では、この飛行機のトゲトゲの突起は何のために付いているのでしょうか?

翼の先端の突起物の画像

これは「Static Discharger:スタティックディスチャージャー」と呼ばれています。

日本語に訳すと「静電気放出器」になります。

読んで字の如く静電気を放出する装置になります。

避雷針は雷を敢えて導く装置なのでStatic Dischargerが避雷針ではないことが名前からも分かります。

では、飛行機の静電気とはどういうことなのでしょうか?

また、静電気を放出する理由は何なのでしょうか?

機体に溜まった静電気を放出し、無線装置の通信不良を回避する

まずは飛行機の機体に静電気がたまる理由から説明しましょう。

飛行機は飛行中、絶えず風を切り裂きながら飛行しています。

風を切り裂きながら飛行しているということは、周りの空気と機体の表面が擦れ合いながら飛行しているということになります。

物体と物体が擦れ合うとお互いの間で物質中の電荷が移動します。

電荷にはプラスの電荷とマイナスの電荷がありますが、電気的な性質がない物体はプラスとマイナスが同数存在している状態です。

ですが擦れることにより物質間で電荷が移動することにより、互いにどちらかの電荷の割合が大きくなるのです。

プラスの電荷とマイナスの電荷がアンバランスの物体は電気を帯びている状態になりますが、これが静電気が溜まっている状態です。

飛行機の場合は、機体の表面と擦れ合う空気分子や空気中の塵などとの間で静電気が発生します。

では、この静電気が溜まってしまうとどのような影響があるのでしょうか?

この溜まった静電気は、実は少しずつ外に放出(放電)されて元の状態に戻ろうとするのですが、その時に発生するのが電磁波です。

ちょっと難しいですがこの時の放電をコロナ放電と言います。

ところで、飛行機には数種類の無線機が搭載されており、機体に突き出たアンテナから電波を送信したり受信したりしています。

電波というのは電磁波の一種なのですが、先ほどのコロナ放電によって発生する電磁波がアンテナ近くに影響を及ぼすと、送受信する電波が乱れて通信に雑音が入ったり不具合が生じてしまうのです

これを防ぐためには機体のアンテナから遠いところで放電がなされるようにすればよいのですが、その役割を果たすのがStatic Dischargerなのです。

機体から遠い翼先端部分から放電がなされるようにすることで、大切な無線機器に影響が及ばないようにしているのです。

Static Dischargerは翼の先端付近の他、垂直尾翼の先端付近にも取り付けられています。

垂直尾翼のStatic Discharger画像

もしも空港に行って飛行機を見る機会があれば、ぜひ観察してみて下さい。

飛行機は雷を避けるのが基本。雷に打たれると機体が損傷してしまう。

ビルなどに避雷針が取り付けられているのは、雷が近づいてきた時にビルを動かすことができないからです。

雷から逃げられないので、落ちるならここに落ちてくれということで避雷針が付いているのです。

飛行機の場合は自ら動くことができるので、飛行中は雷を避けて飛ぶのが基本です

雷の存在は目視で確認したり、最近の機体ではLightning Sensorと呼ばれる周辺の雷を検知して画面に表示する機能が付いていたりします。

ですが、どんなに避けようとしても雷に打たれてしまうことはあります。

雷に打たれても、電流が機体の内部や電子機器に流れないで外に出ていくように飛行機は設計されていますから、よほどのことがない限り事故に至ることはありません。

ただし、雷に打たれた後は必ず整備士による確認が必要になります。

雷は機体の比較的尖った部分から出たり入ったりするので、雷に打たれた後はアンテナ部分が破損していたり、機体表面で金属同士の結合部分であるリベットが電流で溶けてしまったりと少なからず損傷が発生するのです

このような事実からも、飛行機には機体に敢えて雷を導くような避雷針が付いているわけではないと納得することができます。

終わりとまとめ

いかがでしたか?

飛行機を外から眺めていると、いろいろなところに突起やアンテナが付いていたり変わったマークが付いていたりと、意外とたくさん気になる箇所が見えるものです。

今回はStatic Dischargerでしたが、他にも飛行機の「コレ何?」や、豆知識を紹介していきますので、興味がありましたら是非読んでみてください。

最後に今回のまとめをしておきます。

・翼の先の突起はStatic Dischargerと言う

・機体に溜まった静電気が放電される時の電磁波は飛行機の無線機器に影響を及ぼす

・Static Dischargerは機体に溜まった静電気をアンテナから離れて放出する役割を果たす

・飛行機は雷を避けて飛ぶのが基本であり、避雷針は付いていない

 

 

 

 

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