こんにちは。ころすけです。
最近ではFlight Radar24というサイトの登場などにより、飛行機がいつ、どこを飛んでいるのか、専門家でなくとも情報を入手できるようになりました。
今回はFlight Radar24を眺めていると、飛行機に詳しくない方でも興味が湧いてきそうなことが色々と分かるのです。
今回は2020年8月23日のANA788便(大館能代-東京羽田)に焦点を当てて、フライトの様子を観察してみましょう。
大館能代-東京羽田の運航ルート
ANAの時刻表を見ると、大館能代-東京羽田を飛ぶANA788便の情報は以下のようになっています。
・便名:ANA788便
・区間:大館能代(ONJ)-東京羽田(HND)
・出発時刻:10:50
・到着時刻:12:10
・運航機材:B737
・距離:314ノーティカルマイル
出発から到着まで約1時間の比較的短いフライトになっていますね。
さらに、出発から到着までの飛行経路についても見てみましょう。
まずは大館能代空港を出発した直後のルートです。
大館能代空港から羽田空港へ向かう場合、西向きの離陸ではそのまま直進した後、東向きの離陸では180度ターンをした後に左旋回して秋田空港(UWEという無線標識)を目指す出発経路を辿ります。
続いて巡航中の経路ですが、秋田空港(UWE)以降は以下のようにチェックポイント(ウェイポイント)を結んで、羽田空港に北側から到着する際のゲートであるGODINを目指します。
UWE → Y32 → RUBIS → Y10 → GODIN
最後はGODINを通過して羽田空港に着陸するまでの経路です。
この日の羽田空港は北風時の運用で、RWY34が着陸滑走路となっていました。
さらに天候がさほど良くないということもあって、着陸はILS(Instrument Landing System)による方式が実施されていたものと思われます。
その場合の飛行経路は以下のようになります。
GODIN以降は南に向かって房総半島を南下していき、最終的にCREAMというウェイポイントでILS RWY34R Approachの着陸方式に接続しています。
以上が大館能代空港から東京羽田空港まで飛行する際の標準的な飛行経路というわけです。
2020年8月23日のANA788便の記録
それでは次は、実際に2020年8月23日のANA788便の飛行経路がどのようであったか、Flight Radar24のHistory機能から記録を見てみたいと思います。
下の図が実際に飛行した経路の記録です。
最初に紹介した標準の飛行経路どおり、大館能代空港を西向きに離陸してすぐに左旋回に入り、東北地方を日本海側から太平洋側に向かう航跡が描かれています。
仙台の南あたりで針路が右に変わっていますが、この針路が変わっている地点がRUBISであることが予想できますね。
ところが!
後半になって茨城県に入ったあたりからの航跡を見ると、当初想定していた経路とは大きく違っていることが分かるかと思います。
上の図のように本来であれば茨城県をほぼ真南に南下して、霞ケ浦の西側を通りつつ千葉県の上空に入っていく経路が予想されるのですが、この日の飛行経路では宇都宮の真東あたりで突如左に針路を大きく変えています。
空港周辺に近づいてくると、様々な出発地から羽田空港に向けて着陸してくる機体が多数重なってしまうので、他機との間隔を取るためにレーダー管制室の管制官から本来の経路から外れた経路を指示されることは実は日常茶飯事です。
ですが、さすがにこれほど大きく、茨城県沖に出てしまいそうなほどレーダー誘導されることは通常では考えられません。
このように通常の飛行経路と実際の飛行経路を比較してみると、度々「おや?」っと思うケースが出てくるのです。
今回のケースに関しては、雨雲レーダーの記録と飛行経路を照らし合わせてみると、何が起こっていたのか解明することができました。
上の図は、ちょうどANA788便が羽田空港に到着する時刻あたりの雨雲レーダーの様子です。
見て分かるとおり、この時間帯は茨城県の南部に局所的に雨雲が発生して強い雨が降っていることが分かります。
元々ANA788便が飛行すると予想していたルートにちょうど重なる位置に強い雨雲が発生していたわけです。
ということは、先ほど「おや?」っと思った飛行機の実際の挙動は、実はこの雨雲を避けるためだったというわけなのです。
同時刻、同方面からの便も同じように悪天候を回避していた!
このようにしてANA788便がちょっと変わった飛行経路を飛んでいた理由が分かったわけですが、試しに同じような時間帯に羽田空港に着陸しようとしていた他の機体の様子を見てみると、下の画像のような状況になっていました。
どうやらANA788便の前に何機か同じように羽田空港に向かっていた飛行機があったようですが、みな同じように茨城県をそのまま南下するのを避けて、太平洋寄りに針路を変えていることが分かります。
つまり、先ほどの迂回行動はANA788便だけに限った話ではなく、この時間帯の飛行機はみな同じように同じ雨雲を避けるように飛行していたということが分かるのです。
おそらくは短時間のうちに発達したゲリラ豪雨のような雨雲でしょうから、管制官もパイロットも刻々と変化する状況に神経を尖らせながら飛行機を運航する必要があったと想像されます。
管制官やパイロットの大変さが分かる一例と言えますね。
終わりに
いかがでしたか?
このようにFlight Radar24を使って飛行機の運航を眺めていると、ちょっとした飛行機運航の実態を垣間見ることができるのです。
今後もFlight Radar24を使って垣間見ることができる飛行機雑学を紹介していこうと思いますので、興味があればぜひご覧になってみてください。
以上!