飛行機

飛行機の不具合はすぐに直さない!?MEL/CDL(運用許容基準)とは?

こんにちは。ころすけです。

飛行機は機械ですから故障がつきものです。

当然、機体に何らかの不具合や故障があれば、修理してからでないと飛ばすことはできません。

ただこれはあくまで原則であって、実際のエアラインの運航では、実は修理を持ち越して飛行させることがあるのです。

どういうことでしょうか?

詳しく解説します。

飛行機の不具合はすぐに直さない!?MEL/CDLとは?

飛行機を構成する部品やシステムは、どれも目的があって装備されていますから、当然全てが正常に機能していれば万全の状態と言えます。

ですが、どこか少しの不具合だけで飛行不可能になるのか?というと、そうではありません。

飛行機の機能には基本的にバックアップとなる仕組みが用意されていたり、同じ機能を分散して複数持たせることで冗長性を確保していたりします。

例えば、飛行機システムの動力源となるのは電力や油圧の力です。

このうち、電力を生み出すGeneratorは両エンジンからの駆動力で作動していますが、APUと呼ばれる補助動力装置から補うことが可能です。

油圧力を発生させるポンプも左右それぞれのエンジンで駆動していますが、バックアップとして電気モーターによるポンプも装備されています。

つまり多くの場合、いくつかの機能が不作動であるだけなら、飛行することが可能なのです。

これはイメージですが、飛行可能な最低レベルを1とすると、全装備が万全なら1.5レベルぐらいで、1つ2つの不具合だけなら1を下回ることはないのです。

このような考え方から、仮に飛行前の段階で何らかの不具合が発生した場合でも、ものによっては不具合を抱えたまま飛ばしても問題ないと判断できるのです。

ただし、どのような不具合であれば問題がないのかを、その場に居合わせた整備士やパイロットが勝手に判断することはできません。

どの不具合なら修理を持ち越せるか定めたマニュアルが、機体メーカーから提供されているのです。

このマニュアルのことをMEL/CDL Manualと言って、Minimum Equipment List(MEL)Configuration Deviation List(CDL)から構成されています。

MEL(Minimum Equipment List)を適用すれば、システム不具合を持ち越せる

MELは機体システムが不作動の場合に、修理を持ち越せる条件や基準が示されたマニュアルです。

読み方はJAL系列ではメル、ANA系列ではエムイーエルと呼ばれています。

MELの使い方の具体例ですが、例えば飛行機にはPACKと呼ばれるエアコン装置が通常2つ装備されています。

この2式のPACKのうち1式が不作動になった場合でも、MELにはPACK 1式不作動の場合の修理持越し基準が設定されているため、残ったPACK 1式で運航が可能なのです。

ただし、本来2式あるPACKが1つだけになった場合、機内に与圧を加える力が弱くなったり、客室の温度調整に注意が必要になったりします。

なのでMELにはPACK 1式のみで運航する際の条件として、例えば与圧が少なくて済むように飛行高度の上限が設定されていたり、空調操作時の注意点が記載されていたりするのです。

MELで修理の持ち越しが許されているシステムには意外なものもあります。

例えば客室の座席で目の前のシートベルト着用サインが作動しない場合、その座席を使用さえしなければ運航してもよいことになっていますが、条件として”Do Not Use”の札を貼らなければいけないなどと定められています。

客室内の照明で、飛び飛びに点灯しないのは許されますが、連続何個以上点灯しない場合は持越し不可なんていうのもあります。

適用した場合に修理を持ち越しできる期間についても、MELの記載に条件が明記されています。

期限は3日や10日など様々ですが、通常は整備基地で可能な時に、速やかに修理がなされます。

CDL(Configuration Deviation List)を適用すれば、軽微な部品欠損を持ち越せる

MELが飛行機の機能が損なわれている場合であるのに対して、CDLは機体の物的な欠損がある場合に修理を持ち越せる基準になります。

読み方はシーディーエルですね。

具体例を挙げると、飛行機の翼の先端にはスタティックディスチャージャーと呼ばれる放電針が付いていますが、これが欠落した場合にはCDLを適用可能です。

スタティックディスチャージャーの画像
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またバードストライクと呼ばれる鳥衝突が起こった際に、例えばランディングギアのドアに当たって破損してしまうことがあるのですが、この場合もドアを完全に外してCDLを適用すれば運航可能な場合があります。

ランディングギアドアの画像

CDLもMELと同じように適用する際の条件が定められていますが、物的な欠損に対する基準なので、空力的な性能低下に関する制限が多いことが特徴です。

部品の欠落で空気抵抗が増加して燃費が悪くなりますので、その分の追加燃料量が決められていたり、離陸時の最大重量の制限が決められていたりします。

機体外部のライトカバーが割れてしまった場合などもCDLのアイテムになりますが、こちらは空力的な影響は無視できるものの、割れた部分を専用のテープで保護するなどの条件が決められています。

CDLでの修理持越し期間は個々に定められていませんが、外的・物的な不具合のため、通常は整備基地にて可能な場合に速やかに修理するのが鉄則です。

MEL/CDLは整備士とパイロット双方の合意が必要であり、厳格な運用が求められる

MEL/CDLは、許容可能な機体不具合にも関わらず、過剰な欠航が発生してしまうことを防ぐ手段です。

ですが、誤った運用は安全面に大きく影響するため、厳格な運用が求められています。

まず、MEL/CDLを適用する際は、整備士・パイロット双方が合意する必要があります。

整備士はメカニカルな視点で、パイロットは操縦への影響や運航要件を満たすかという視点で、MEL/CDLを適用しても問題がないことを確認するのです。

適用が決定した際は、各機体に搭載されている航空日誌(ログブック)にMEL/CDLを適用したことを記載し、双方の責任者がサインをします。

このサインがなければ、法的な根拠に従ってMEL/CDLを適用したことが認められないのです。

終わりに

いかがでしたか?

MEL/CDLの運用は、一般にはあまり知られていない運用かと思います。

とりわけ客室装備品へのMELを適用した場合は、一般の搭乗客にも”Do Not Use”の札や、不作動処置がされた様子が目に入るかもしれません。

そんな時、「機体に不具合を抱えたまま飛ばすなんて、しっかり整備してるの?」と怪訝に思われるかもしれません。

ですが、MEL/CDLは厳格な運用のもと適用されるもので、不要な欠航や遅延を防ぐための処置です。

なので、どうぞ安心してご搭乗ください。

 

以上!

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