こんにちは。ころすけです。
前回の記事で、福岡空港からの出発経路について解説しました。
今回は福岡空港へ到着する場合の経路について解説したいと思います。
福岡空港への到着パターンは必ず空港の北側から。
福岡空港は滑走路の長さが2800mあり、着陸方向は340°(北向き)または160°(南向き)のいずれかです。
ポイントとなるのは、どちらに着陸する場合でも、まず必ず空港の北側に回り込む点です。
福岡空港は福岡市街の内陸にある空港ですが、福岡市自体が北側を海に面しています。
福岡空港への到着機は、まずは空港北側の開けた海上エリアに集まってくるイメージを持つと理解がしやすくなります。
これは福岡県の南側が山がちで到着経路を設定しづらいという理由のほか、騒音問題を回避するために、なるべく陸地上空ではなく海上を通過するように配慮した結果だと思われます。
RWY16(南風)で着陸する場合
それでは具体的に福岡空港へ着陸する場合の経路であるSTAR(標準計器到着方式)のチャートを見てみましょう。
まず下の図は、RWY16(南風)で着陸する場合のSTARです。
STARとは巡航経路上のチェックポイント(ウェイポイント)と、最終着陸コースにあたる進入経路の開始点までを結ぶ飛行経路のことです。
福岡空港に南風で着陸する場合、進入経路の開始点は空港北側にあるMALTSというウェイポイントです。
ここまで導かれた飛行機は、あとは滑走路まで真っすぐに最終降下をして着陸するわけです。
一方でSTARの開始点はというと、図の赤丸で囲んだIKI、ISKUP、OSTEP、KIRINの4か所があって、これらはいずれも巡航経路上のウェイポイントでもあります。
左下から時計回りに見ていくと、まずOSTEPは鹿児島や宮崎を出発して北上してくる便が巡航経路から接続するウェイポイントになります。
続いてISKUPは、これも同じく巡航経路を北上してくる便が接続するウェイポイントですが、沖縄や南西諸島などやや西よりのエリアからの巡航経路に繋がっています。
沖縄・南西諸島からの便は、場合によってはISKUPではなく、IKIまで飛行してIKIからSTARに接続する場合もあるようです(ISKUPとIKIは巡航経路として繋がっている)。
IKIには他に、台湾や上海からの便が西方の巡航経路から接続し、韓国方面からの便も北側からSTARに接続します。
一方で福岡空港の東側にあるKIRINですが、こちらは九州の東側にあるすべての空港からの出発機が接続するウェイポイントです。
北海道や東北、関東、関西からの便は全て、山口県付近を通過してKIRINを目指すのです。
↑実際に福岡空港へ到着する飛行機の流れですが、福岡県北側の海上に向かって飛行機が集まってきていることが分かります。
福岡空港への到着機の流れは、KIRIN以外の空港西側のSTARからやってくる飛行機の流れと、空港東側のKIRINからやってくる飛行機の流れの2パターンに大別できるのが特徴です。
福岡は日本列島主要四島の中で西の端になりますので、羽田や伊丹、その他主要空港からの便は全て東からやってくることになります。
なので便数の割合で言うと、東方のKIRINからやってくる便が圧倒的に多く、ほぼ途切れることはありません。
一方で、中国・韓国や沖縄・南西諸島などの西寄りからやってくる便はそれほど多くはないので、まとめて西寄りからの流れと見ておくと整理がしやすいかと思います。
↑時間帯にもよりますが、東側からはほとんど絶え間なく到着便がやってきます。
RWY34(北風)で着陸する場合
続いてはRWY34(北風)で着陸する場合ですが、こちらも南風で着陸する場合と同様に、まずは空港北側の海上エリアに各方面からの飛行機が集まってきます。
STARの入り口となるウェイポイントも、先ほどと同じくIKI、ISKUP、OSTEP、KIRINの4か所です。
先ほどと異なるのは、進入の開始点が空港南側のHAWKSというウェイポイントに変わっている点で、空港の北側に集まってきた飛行機は回り込むようにHAWKSへと向かっています。(ちなみにHAWKSの由来はプロ野球チームのホークスから)
KIRINからのSTARはITODAに向かう時計回りの経路と、EBISUへ向かう反時計回りの経路がありますが、これはその時の交通状況を勘案して使い分けられているようです。
下の画像は那覇からの到着便の飛行経路ですが、一旦九州北側の海上付近に出た後、再び南下して福岡空港の南側へ回り込んでいるのが分かります。
好天時のRWY34へはVisual Approachを実施するのが基本
ここまでで福岡空港への到着経路を解説しましたが、実はRWY34(北風)時の到着でHAWKSまで導かれるのは、天気が比較的悪い日だけに限られます。
HAWKSは福岡県の久留米市付近のウェイポイントですが、RWY34に着陸するためにここまで南下してしまうと、市街地の上を飛ぶ距離が長くなってしまうからです。
天気が悪くて視界が悪い日は、地上施設を利用した着陸方式(ILS)の電波に乗るために最終進入の直線部分を長く取るため、HAWKSまで南下します。
ですが、天気が良好で視界が良い日は、空港西側からのVisual Approachが実施されることになっています。
Visual Approach(ビジュアルアプローチ)とは、予め決められた所定の飛行経路によらず、パイロットが目視で空港や地上物標を確認しながら最短経路で着陸する方式のことです。
ビジュアルアプローチをする場合は、まず管制からレーダー誘導で空港のすぐ西側の滑走路と平行なライン(ダウンウインドレグと言います)に導かれます。
ダウンウインドレグまで導かれた飛行機は、あとは目視判断により最短距離でRWY34に着陸するのです。
下の画像は福岡空港のRWY34へVisual Approachで着陸した航跡例になります。
HAWKSまで回り込んだ場合に比べて、市街地上空を飛行する距離が大幅に短くなっていることが分かります。
このように福岡空港のRWY34(北風)での運用時は、飛行チャートどおりでない少々特殊な運航が実施されているのです。
Visual Approachについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧になってみてください。
終わりに
いかがでしたか?
福岡空港は北側が海、南側が市街地や山に囲まれた特殊な地理条件であるほか、運航便数が多く騒音問題にも敏感なため、やや特殊な到着経路が設定されているんですね。
特に北風時のVisual Approachについては、空港に近いところを旋回しながら着陸していく飛行機を展望デッキから目の当たりにすることができ、見る側にとっては非常に面白い光景です。
飛行機で福岡空港へ行かれる方も、福岡空港で飛行機を見るという方もぜひ、事前に到着経路について頭に入れた上で空港へ向かってみてはいかがでしょうか?
以上!
~他の空港の解説はこちら~