飛行機

【飛行機の雑学】離陸するときの推力は全開ではない?加速時のGも変わります。

こんにちは。ころすけです。

みなさんは飛行機が離陸する時の加速をどのように感じていますか?

「あのスリルある感覚が好き」と言う方もいれば、

「あれが怖くて飛行機が嫌い」と言う方もいるでしょう。

おそらくどちらの意見をお持ちの方であっても、「飛行機が離陸する時は推力全開で上昇していく」と思われているのではないでしょうか?

実はこれ、そうではないのです。

今回は離陸推力にまつわる雑学を紹介したいと思います。

飛行機が離陸する時の推力は全開であるとは限らない

飛行機が離陸する時は「離陸推力」と呼ばれる推力を使用します。

飛行機の運航で最も大きな推力が必要なのは離陸する時の加速時ですから、この離陸推力はエンジンが出せる推力のうち最も大きな推力になるのが基本です。

ですが厳密には離陸推力の中にも選択肢がいくつかあって、推力の大きさが少しずつ異なるのです。

なぜこのような選択肢があるのでしょうか?

下の図をご覧ください。

重さが軽い時や滑走路が長い時のイメージ

飛行機に乗るお客さんの数は日によって異なりますし、目的地によって搭載する燃料の量も異なりますから、飛行機が離陸する時の重さは日によって異なります。

当然、重さが軽い方が早く離陸速度に到達しますから、必要な滑走路の長さは短くなります。

一方で滑走路も、2,000m程度の長さから4,000mを超える空港まで様々です。

このように重さが軽い場合であっても滑走路が長い場合であっても、常にMAXの推力を使用していたのでは滑走路の端よりも随分手前で離陸してしまい、使える滑走路の長さを無駄にすることになってしまいます。

飛行機のエンジンは大きな離陸推力を使えば使うほど消耗が大きくなりますから、離陸の場合であっても可能な限り弱い推力を使う方が寿命が延び、整備コストも下げることができます。

このような理由から、MAXの離陸推力よりも弱い離陸推力をいくつか選択できるように設計されているのです。

飛行機は重量が軽い時や、滑走路の長さに余裕がある時の離陸では弱い推力を使う。

もしも滑走路の長さに余裕がある場合は、パイロットは1段または2段ほど推力値を下げた離陸推力を使用することが可能です。

ここでボーイング系の機材を例に挙げると、MAXの離陸推力のことを「TO(Takeoff) MAX」と言い、推力を下げた選択肢として「TO1」「TO2」の2つがさらに使える仕様が一般的です。

推力の大きさでは通常、TO MAXに対してTO1、TO2とそれぞれ10%ずつ小さくなっていきます。

弱い推力を使った場合のイメージ

さらにほとんどの機体では「アシュームドテンパーチャー」と呼ばれる設定が可能であり、より細かな離陸推力の設定ができるようになっています。

アシュームドテンパーチャー=Assumed Temperatureは直訳すると「想定温度」になります。

実は飛行機のジェットエンジンは、外気温が高すぎると推力を出した際にエンジン内の温度が上がりすぎてしまうため、ある外気温を境に気温に従ってMAXの離陸推力を徐々に下げるように設計されています。

この制限を利用して、ちょうど滑走路の長さぎりぎりを使って離陸できる外気温を逆算し、エンジンのコンピューターに入力するのです。

いわば、コンピューターをだまして無理やりちょうど良い推力設定にするというわけです。

アシュームドテンパーチャーのイメージ

このように実際の飛行機の運航では、離陸の際の推力がなるべく小さくなるように配慮されているのです。

離陸推力が使えるのは5分間だけ。すぐに上昇推力に切り替えます。

TO MAXでなく、TO1やTO2、そしてアシュームドテンパーチャーを使ったとしても、それらが離陸推力であることには変わりありません。

この離陸推力ですが、実は連続して使用できる時間に時間に制限があって、通常は5分間で設計されています。

それ以上長い時間連続して離陸推力を使用してしまうと、最悪の場合エンジンが壊れてしまう恐れがあるのです。

なので、飛行機では離陸が完了すると間もなく、離陸推力から上昇推力までエンジンの出力を下げます。

離陸推力から上昇推力への切り替え

この上昇推力へ切り替えるタイミングは状況によって異なりますが、空港の標高から1,500ft(約450m)の高さに達した時点となるのが一般的です。

当然ながら上昇推力は離陸推力よりも小さな推力の大きさになります。

また、上昇推力にも最大上昇推力である「CLB(Climb) MAX」から「CLB1」、「CLB2」と数段階の推力が選べるようになっています。

終わりに。離陸時のGの大きさに注意を払ってみよう!

いかがでしたか?

このように使用する推力の大きさは条件や日によって異なるわけですが、実際に飛行機に乗っている場合には、注意深く意識しているとその差を感じることができる場合があります。

TO MAXではなく弱い離陸推力を使っている場合は、いくらか加速時に感じるGが小さいように感じられるのです。

推力の違いによる加速度の違い

また離陸推力から上昇推力へ切り替える時も、注意してエンジンの音などを聞いていると、エンジンの出力が弱まったことが分かるはずです。

もしも飛行機に乗る機会がありましたら、飛行機のエンジン音や加速のGに意識を集中して、使用している推力の大きさや上昇推力へ切り替えるタイミングなどを想像してみてはいかがでしょうか?

 

以上!

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